ランダムは、だいたい最悪を引く
「では」
グレイヴ先生が、無慈悲に告げた。
「箱から一枚」
「番号札を引け」
木箱の中で、札がカラカラ鳴る。
「これ」
「神、試してない?」
ミアが真顔で言う。
「神は存在しない」
先生が即答する。
「いるのは確率だけだ」
「最悪!」
⸻
ペア①
霧島ユウト × ミア・フィンレイ
「……はい、解散!」
「まだ始まってない!」
「でももう分かる!」
ミアが先に叫んだ。
「ユウト」
「抑えすぎ!」
「お前が」
「出しすぎなんだよ!」
⸻
課題:
同時詠唱による属性安定化
「せーの、でいくよ!」
ミアが言う。
「待て」
「呼吸合わせろ」
「はいせーの!」
ボンッ!!
火と風が混ざって、
教室中央で小規模爆発。
「はい停止!」
「見た!?」
ミアが言う。
「今の、半分ユウトのせいだよね!?」
「七割お前!」
⸻
ペア②
霧島ユウト × ルナ・ヴァルシュタイン
「……」
距離が、近い。
「ねえ」
ルナが囁く。
「緊張してる?」
「してない!」
出力が跳ねた。
「ほら」
ルナが笑う。
「分かりやすい」
「近いんだよ!」
⸻
結果:
魔法は成功。
だが、
床が溶けた。
「成功扱いでいい?」
ルナが聞く。
「ダメだ」
先生が即答。
⸻
ペア③
霧島ユウト × セリナ・クロフォード
「指示は私が出すわ」
「助かる」
「感覚で動かないで」
「努力する」
完璧な連携。
「よし」
――と思った瞬間。
ユウトの出力が、
一瞬だけ跳ねた。
セリナが即座に詠唱を補正。
「……今、抑えた?」
「ありがとう!」
「当然よ」
評価:
高。
⸻
ペア④
霧島ユウト × フィオナ・リース
「……近づきすぎないで」
「はい!」
距離、遠め。
「詠唱、私が数える」
「助かる!」
フィオナの声に合わせて、
ユウトが合わせる。
魔法は、静かに成功。
「……大丈夫」
フィオナが、少し笑った。
先生が頷く。
「理想的だ」
⸻
休憩時間
「結論」
ミアが言う。
「ユウト」
「相手で性能変わりすぎ」
「否定できない」
ルナが腕を組む。
「感情依存型ね」
「やめろ」
セリナが言った。
「フィオナとの相性が」
「一番安定してる」
フィオナが、赤くなる。
「……たまたま」
⸻
先生が、最後に告げる。
「本日の評価」
「霧島」
「制御は未熟」
「だが」
「適応力は全体トップ」
ユウトは、ため息をついた。
「褒められてるのか?」
「褒めている」
⸻
授業終了後。
「ねえユウト」
ミアが笑う。
「これから」
「誰と組むかで」
「事件起きるよね?」
「確実にな」
ユウトは遠くを見る。
二学期は、
まだ始まったばかりだった。
「次の実技から」
グレイヴ先生が、淡々と告げる。
「ペアを」
「固定する」
教室が、一瞬でざわついた。
「固定?」
ミアが聞き返す。
「一回じゃなくて?」
「一定期間」
先生が頷く。
「ちょっと待って」
ユウトが言う。
「それ、誰が決めるんですか」
「本人たちだ」
「地獄か?」
⸻
「ねえユウト」
ルナが、当然のように言う。
「私と組みましょう?」
「当然みたいに言うな!」
「相性、悪くないでしょ?」
床、溶けたけど。
⸻
「異議あり」
セリナが、手を挙げる。
「霧島は」
「制御補助が必要」
「合理的に考えれば」
「私が最適」
「合理性で来るの怖い!」
⸻
フィオナが、小さく言う。
「……私でも」
「いいなら」
その一言で、
空気が変わる。
ミアが、腕を組んだ。
「は?」
「なんでみんな」
「専属みたいな言い方してんの?」
「ユウトは」
「共有物じゃないからね!?」
「誰も共有物なんて――」
「言ってないけど!」
⸻
グレイヴ先生が、静かに言った。
「揉めるのは」
「想定内だ」
「じゃあ」
「どうするんですか」
「簡単だ」
先生は、黒板に書いた。
【指名制】
「……終わった」
ユウトは、天を仰いだ。
⸻
次回、
『専属ペア宣言、開始』
選ぶのか、
選ばれるのか。
制御不能な魔法より、
危険なのは――感情。




