昼休み地獄、弁当を守れ!前半
入学式を終え、クラスメイトたちの自己紹介も無事(?)終わった。
霧島ユウトに訪れたのは、つかの間の昼休み――
「……やっと、一息つけるか」
机の上には、普通の弁当箱。
中身は、卵焼き、唐揚げ、野菜、そして小さなおにぎりが二つ。
至って平凡。
完璧に平和な昼食だ。
ふたを開ける。
静かだ、平和だ。――と思った瞬間だった。
「わあっ、なにこれ! おいしそう!」
隣の席の少女が、瞳をキラキラさせてこちらを覗き込む。
昨日の入学式で隣に座っていた、元気すぎるボケ担当のミアだ。
「ちょ、見ないで! まだ食べてないんだ!」
「えー、一口だけ……いいじゃん」
まだ箸も手に取ってないのに、戦争開始の予感。
「ダメだって言ってるだろ!」
背後からも声が重なる。
「霧島くん、その弁当ちょっと地味じゃない?
もっと彩りあった方が……」
距離感ゼロのお色気担当、ルナ。
座った瞬間から俺の領域を侵食してくる。
視線が痛い。距離も近い。
「いや、まず静かにさせてくれ!」
「ふふ、反応が面白い」
もう無理だ。
その瞬間、足元でガタガタ……
「きゃっ、あっ、椅子が……!」
完璧に見えて残念美人、セリナが椅子に引っかかって転びかける。
当然、俺の机にもぶつかる。
「ちょ、なにやってんだ!?」
「す、すみません……!」
後ろからはふわっと声が。
「……霧島くん、こんにちは~」
おっとり系のフィオナだ。
のんびり顔でこちらを覗き込み、無自覚に魔力を漂わせている。
空気が微妙に揺れて、息が少し重い。
「いや、空気まで巻き込むな……!」
こうして、俺の平和な昼休みは開始30秒で完全崩壊した。
⸻
箸を握り、防衛ラインを築く。
俺の目の前の弁当箱は、もはや戦場の最前線だ。
「この弁当は……絶対に俺が食べる……!」
しかしミアは止まらない。
「ちょっとだけ……ね?」
「絶対ダメだ! 一口も許さない!」
机を押さえ、箸を握り、心で叫ぶ。
平和な昼休みは幻想だった。
ルナも隙あらば攻撃してくる。
「ふふ、反応が可愛いね~」
「可愛いって言ってる場合じゃない! 静かに食べたいんだ!」
俺が防衛していると、ミアが突然弁当箱を覗き込みながら、
「ねえ、卵焼きの端っこちょっと……」
「ダメだああああ!」
セリナも事故る。
「ちょ、机の角に……うわっ!」
弁当箱が倒れかけたが、ギリギリで持ち直す。
危機一髪、俺の防衛成功。
フィオナはのんびり手をかざす。
「……ちょっとだけ、流れを変えてみます~」
汁もこぼれず、卵焼きも唐揚げも無事。
奇跡の防衛成功。
教室の空気が少し和む。
周囲の生徒たちも、遠巻きにクスクス笑う。
「……まだ食べられてない……」
しかし、同時に確信した。
(このクラス、弁当一個でもイベントになる)
俺の昼休みは、まだ始まったばかりだ。
次回予告
初めてのクラスメイトたちとの昼休み――
霧島ユウトは、ただ平穏に弁当を食べたいだけだった。
しかし隣の元気すぎるボケ、距離感ゼロのお色気、事故りかけの残念美人、そしてのんびりおっとり……
四方向から迫る個性の嵐に、平和な昼休みは瞬く間に崩壊する。
弁当箱を死守するため、ユウトのツッコミと防衛能力がフル稼働。
ヒロイン同士の小競り合いも加わり、戦場と化した教室。
果たして弁当は無事に食べられるのか――!?
次回、昼休み地獄、最高潮――胃薬必須!




