ルナの強さ
「次、私?」
夕方の教室。
ルナは、指先で自分の髪をくるりと巻いた。
「順番的に、そうなるわね」
リアが言う。
「いいわよ」
「隠す気、ないし」
ミアが即ツッコむ。
「堂々としすぎじゃない?」
「だって」
ルナは微笑む。
「隠したら、負けでしょ?」
その言葉に、ユウトは一瞬だけ引っかかった。
(……負け?)
⸻
「私の家」
ルナは窓際に寄りかかる。
「ちょっと変わってるの」
「貴族とか?」
ミアが聞く。
「半分正解」
「半分?」
ユウトが首を傾げる。
「母は魔法使い」
「父は、魔法が使えない」
セリナが小さく息を飲む。
「珍しいわね」
「でしょ?」
ルナは頷いた。
⸻
「昔はね」
「周りから、よく言われた」
『魔法使いなのに、血が濁ってる』
『中途半端』
ルナは、笑いながら言う。
「子供ってさ」
「残酷なのよ」
「……笑って話すこと?」
フィオナが心配そうに聞く。
「慣れた」
即答。
「慣れたし」
「考えたの」
「どうすれば」
「先に、相手の武器を奪えるか」
ユウトが眉をひそめる。
「武器?」
「視線」
⸻
「女の子が」
「見られるって、怖いでしょ?」
ルナは、ユウトを見る。
「でも」
「自分から使ったら?」
沈黙。
「私が決める」
「見せるか、見せないか」
「触れさせるか、触れさせないか」
ミアが小声で言う。
「強い……」
「強がりよ」
ルナは苦笑した。
⸻
「お色気ってさ」
ルナは、指で机を叩く。
「武器でもあるけど」
「盾にもなるの」
「笑われる前に、笑わせる」
「見下される前に、見せつける」
セリナが言う。
「だから、余裕があるように見えるのね」
「そう」
ルナは頷く。
「でもね」
一瞬だけ、声が落ちた。
「本当は」
「見られるの、怖い時もある」
ユウトは、その言葉を聞き逃さなかった。
⸻
「……ユウト」
ルナが呼ぶ。
「なに?」
「私がさ」
「距離近い時」
「ちゃんと、線引きしてる?」
「してる」
即答。
「触れない」
「踏み込まない」
「……うん」
ルナは、少しだけ安堵した顔をした。
「それなら」
「私も、大丈夫」
「何が?」
「好きでやってるって」
「言えるから」
⸻
リアが静かに言った。
「ルナ・ヴァルシュタインは」
「自分の立ち位置を」
「一番、理解している」
「それ、評価高くない?」
ミアがまた言う。
「当然よ」
フィオナが小さく言った。
「……ルナ、かっこいい」
「ありがと」
ルナは微笑んだ。
「でもね」
ユウトを見る。
「近づくのは」
「許してる相手だけ」
ユウトは目を逸らした。
⸻
その夜。
ユウトは考える。
(この人も……強い)
守り方を、選んだ強さだ。
次回予告
セリナの話
「残念美人」と呼ばれる理由
またみてねっ!




