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[★毎日更新★][悲報] 魔法使いを目指す俺、ツッコミ役に就任しました  作者: 三科異邦


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ミアは、黙るのが苦手だった

「じゃあ」

リアが言った。

「最初は、あなたから」


「え、私?」

ミアが目をぱちぱちさせる。


「一番、隠すのが下手だから」


「それ悪口じゃない?」


「褒めてる」


「じゃあいいや!」


軽い。

いつも通りのミア・フィンレイ。

教室の空気が、少しだけ和らぐ。


ユウトは思う。

(こういう時、場を壊さないのはミアだ)


でも。


「……どこから話せばいいんだろ」


その声は、少しだけ小さかった。



「私さ」

ミアは椅子の背もたれに体重を預ける。

「昔から、魔法が得意だったわけじゃないんだよね」


「え?」

ユウトが反応する。


「意外?」

ミアは笑う。


「今の私見てたら」

「最初から調子良さそうに見えるよね」


ルナが頷く。

「まあ、爆発オチ担当だし」


「それは今の話!」


ミアは一度ツッコんでから、息を吸った。



「私の家さ」

「魔法使いの家系なの」


「由緒正しいやつ?」

ユウトが聞く。


「ううん」

「優秀すぎるやつ」


沈黙。


「兄も姉も」

「天才って呼ばれてた」


セリナが、静かに耳を傾ける。


「詠唱、三歳で完成」

「属性制御、五歳で安定」

「学園? 当然、首席」


ミアは肩をすくめた。


「で、私は?」


「……普通?」

ユウトが言う。


「そう」

ミアは笑う。

「普通」



「魔法ってさ」

「失敗すると、めちゃくちゃ目立つんだよ?」


「爆発とか?」

ルナが言う。


「爆発とか!」


ミアは頷いた。


「静かな訓練場で」

「私だけ、ドーン!って」


フィオナが小さく身をすくめる。


「笑われた?」

ユウトが聞いた。


「うん」


即答。


「でもね」

ミアは言う。

「一番きつかったのは、家だった」


空気が変わる。


「『フィンレイの子なんだから』」

「『できて当然』」


ミアは、いつもよりゆっくり話していた。


「できなかった時」

「誰も怒らないの」


「……それ、余計にきつい」

ユウトがぽつりと言う。


「でしょ?」



「だからさ」

ミアは指を立てた。


「私、決めたの」


「決めた?」

リアが聞く。


「黙らないって」


ミアは笑った。


「失敗したら、先に自分でツッコむ」

「変な魔法出たら、笑いに変える」


「それで」

ユウトを見る。


「誰かがツッコんでくれたら」

「私は、普通でいられる」


一瞬、誰も喋らなかった。



「……ユウト」


ミアは、少し照れたように言う。


「私がふざけてる時さ」


「本当は」

「逃げてる時もあるんだ」


ユウトは、答えなかった。


代わりに言った。


「でもさ」


ミアを見る。


「逃げながら、前に進んでるだろ」


ミアは目を丸くして、

次の瞬間、いつもの笑顔に戻った。


「なにそれ」

「ちょっとカッコよくない?」


「今さら気づいた?」


「くーっ!」

「ツッコミが刺さる!」



リアが、静かに言った。


「理解したわ」


「ミア・フィンレイは」


「一番、壊れやすくて」

「一番、場を明るくする」


「評価高くない?」

ミアが胸を張る。


「当然よ」


フィオナが、そっと付け足す。


「……ミアが笑うと」

「安心する」


ミアは一瞬、言葉を失ってから。


「それ、ずるい」


そう言って、顔を背けた。



その夜。

ユウトは思う。


(こいつ、強いな)


魔法じゃない。

笑って、喋って、前に出る強さだ。

次回予告


ルナ・ヴァルシュタインの過去

「自覚しているお色気」と「それを選んだ理由」


‥えーっとこれユウトに喋っていいやつ?

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