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[悲報] 魔法使いを目指す俺、ツッコミ役に就任しました  作者: 三科異邦


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36/65

リア・クロフォードは、整理すると言った

「ねえ、霧島くん」


昼休み。

パンを口に運ぼうとした瞬間、名前を呼ばれた。


嫌な予感しかしない。


「……なに?」


目の前には、リア・クロフォード。

いつの間にか、当たり前のように向かいの席に座っている。


「一つ、確認」

「あなた、自分がどう見られてるか自覚ある?」


「ない」


即答。


「でしょうね」


リアは頷く。


「現状評価を共有するわ」


「やめろ」



「まず、ミア・フィンレイ」


リアは指を一本立てる。


「無自覚型依存」

「あなたがツッコむ前提で暴れる」


「言い方!」


「事実よ」


少し離れた席で、ミアがくしゃみをした。


「次、ルナ・ヴァルシュタイン」


指、二本目。


「自覚あり」

「距離の詰め方が計算ずく」


「褒めてる?」

ルナが笑顔で返す。


「評価よ」


「次、セリナ・クロフォード」


三本目。


「責任感過多」

「あなたを基準に物事を判断してる」


「ちょっと待って」

セリナが即座に割り込む。


「それは違――」


「否定できる?」

リアが静かに聞く。


セリナは、黙った。



「最後」

リアは指を四本立てる。


「フィオナ・リース」


「静観型」

「一番、深いところを見てる」


フィオナが小さく目を見開く。


「……そんなつもり、ない」


「あるわ」


リアは即答した。


「無自覚なのが、余計に危険」


「……全員、問題ありじゃないか」

ユウトがぼそっと言う。


「ええ」

「だから」


リアは、にこやかに言った。


「介入する」



放課後。

リアは、四人を集めた。


「……なんで呼ばれたか」

ミアが不安そうに言う。


「分からない方が問題よ」

リアは淡々と答える。


「あなたたち」

「彼に対して、遠慮がなさすぎる」


「それ、今さら?」

ルナが肩をすくめる。


「ええ」

「今さらだから、整理する」


セリナが腕を組む。


「どういう整理?」


「ルールを決める」


「出た」

ミアが顔を引きつらせる。



「一つ」

「霧島ユウトを“共有物”扱いしない」


「二つ」

「感情をぶつける前に、自覚する」


「三つ」

「他人の想いを軽く扱わない」


リアは、一つずつ指を折る。


「以上」


沈黙。


「……それって」

ミアが言う。

「普通じゃない?」


「普通が守れてないから、言ってるの」


「正論すぎて反論できない……」



「で?」

ルナが微笑む。


「あなたは?」


「私は」

リアは少し考えてから言った。


「監督役」


「一番面倒なポジション!」

ミアが叫ぶ。


「姉として」

リアはセリナを見る。


「妹として」


「……血縁、使うな」

セリナが低く言う。


「使うわ」



その夜。


ユウトは、自室で天井を見ていた。


(二学期、始まったばっかだぞ……)


携帯が震える。


差出人:不明。


『忠告したでしょう』


短いメッセージ。


『このままじゃ、誰か泣く』


「……分かってるよ」


呟いた瞬間、

別の通知が、ほぼ同時に鳴った。


ミア、ルナ、セリナ、フィオナ。


四人から、

それぞれ違う内容。


(二学期、地獄だな)


でも――

逃げる気は、不思議となかった。

次回予告


放課後。

誰もいない教室。


夕陽が差し込む中、リアが言った。


「……過去の話をしましょう」


「いきなり重くない?」

ミアが笑って誤魔化す。


「重いからよ」


リアは視線を逸らさない。


「今の関係だけ見てたら」

「必ず、どこかで誤解が生まれる」


沈黙。


「過去ってさ」

ルナが軽く言う。

「隠すものじゃないでしょ?」


「でも」

フィオナが小さく続ける。

「知られたくないことも、あるよね」


セリナは、窓の外を見たまま言う。


「……話す順番、決める?」


「え?」

ユウトが声を上げる。


リアは、彼を見た。


「もちろん」

「あなたも含めて」


「俺も!?」


「一番、知られてないから」


夕陽が沈みかける。


今まで笑って流してきたこと。

ツッコミで誤魔化してきたこと。


その奥にある、

“理由”。


次回、

『語られる過去と、言えなかった本音』


笑顔の裏側が、

少しだけ、明らかになる。


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