夏休み前なのに地獄! テスト勉強会、開幕
夏休み目前。
つまり――テスト期間である。
「……おかしいだろ」
霧島ユウトは机に突っ伏しながら、心の底からそう思っていた。
窓の外では夏の日差しがきらきらと輝き、風に揺れる木々が「遊ぼうぜ」と囁いている。
(なんで俺は、こんなところで……)
場所は学園の空き教室。
名目は――テスト前合同勉強会。
「霧島くーん! ここ分かんなーい!」
「開始五分でそれかミア! まだ何も説明してねぇ!」
ミアは机に頬杖をつき、ノートを逆さまにしたまま元気いっぱいだ。
いや、元気なのはいいが、勉強する気はどこに行った。
⸻
「ふぅ……やっぱり勉強会って退屈ね」
ルナは椅子にもたれ、魔導理論の教科書を指で弾いている。
ページはほとんど進んでいない。
「テスト範囲、ちゃんと確認したのか?」
「一応。でも暗記は苦手なのよ」
「お前、暗記科目全部アウトじゃねぇか」
「ふふ、霧島くん、ツッコミが冴えてるね」
セリナは静かに微笑みながら、きれいな字でノートをまとめている。
見本のような勉強姿勢だ。
「セリナ、ありがたいけど……お前が優等生すぎて逆に焦る」
「大丈夫です。分からないところは一緒に確認しましょう」
(天使か?)
⸻
「ねえねえ~、おやつ持ってきたよ~」
フィオナが机の上に焼き菓子を並べ始めた瞬間、空気が変わった。
「ちょ、待て! 勉強会だぞ!」
「糖分は脳に必要なんだよ~」
「それは分かるけど、先に勉強だ!」
ミアは即座に反応した。
「食べてから勉強しよ!」
「順番逆だ!」
リアは眼鏡を直しつつ、淡々と口を開く。
「……この流れ、前にもありましたね。結局、半分も進まなかった記憶があります」
「やめろ、正論は俺に効く」
⸻
それでも何とか勉強会は進む。
魔法史、魔力制御、基礎演算――。
「霧島くん、この公式どういう意味?」
「それはだな……えーと……」
セリナに説明していると、ルナが割り込む。
「ねえ、その公式、応用問題出る?」
「出る」
「じゃあやっぱり覚えないとダメじゃない」
「だから最初から言ってる!」
ミアは完全に限界だった。
「もう夏休みの予定考えよーよ!」
「現実逃避すんな!」
⸻
ふと、リアがぽつりと言う。
「……でも、テストが終われば夏休みですね」
一瞬、全員が黙った。
「海!」
「祭り!」
「避暑地!」
「昼寝!」
「お前ら……急に元気になるな!」
だが、その空気は嫌いじゃなかった。
テスト前のピリピリと、夏休みへの期待が混ざった、この感じ。
(……まあ、悪くないか)
⸻
「よし、じゃあ一時間集中して、その後少しだけ夏休みの話しよう」
「本当!? 約束だよ!」
「約束だ。ただし――」
ユウトは全員を見回す。
「テスト、全員赤点回避な」
「……」
「……」
「……が、頑張る!」
こうして、夏休み前最後の戦い――
テスト勉強会という名のドタバタ地獄は、まだしばらく続くのだった。
次回予告
ついに迎えた、夏休み前テスト当日――。
「……終わった」
「まだ始まってもないわよ?」
•寝不足でふらつくユウト
•勉強したはずなのに見覚えのない問題たち
•ヒロインたちの余裕そう(?)な表情と不安な本音
「ねえ霧島くん、この問題……どれ選ぶんだっけ?」
「今聞くな! 俺も思い出してる途中だ!」
•テスト中なのに心が落ち着かないドキドキ展開
•ちょっとした視線や仕草で集中力が削られるユウト
•夏休み突入をかけた、静かな戦いが始まる――
果たして、勉強会の成果は出るのか?
全員そろって夏休みを迎えられるのか!?
次回、夏休み前テスト当日編、開幕!




