草原の遺跡
街から飛行船で飛び続けて数時間
ようやくその遺跡にたどり着いた。
「おお!見えてきました!」
広大な草原のど真ん中にある街。
全体的に蜘蛛のような見た目をしており、
巨大な八本の脚が街を支えている。
「これが古代文明の移動都市!凄い大きさです!」
少女は感動しながら上空から遺跡を眺める。
「そろそろ下りる準備をしなきゃ!」
少女は飛行船を操作して、着陸を始めた。
――
ガコン…
鈍い音とともに船体が揺れ、地面に着陸する。
「とうちゃーく!」
少女は嬉しそうに飛び降りた。
「うわっと…街が斜めになっている…」
長年の劣化によって脚が歪み始めているのか、
支えを失いつつある街は、僅かに傾斜していた。
「おぉ~……この感じも趣があっていいかも」
少女はその感覚を楽しむように歩き始めた。
――
「蒸気パイプだらけ…本当に昔は街ごと動いていたんだ…」
街そのものが一つの巨大な蒸気機関になっているようで、至る所に蒸気管や歯車などが張り巡らされていた。
「さてと、とりあえず誰かいないかな?」
少女は人を探しながら街の中へと入っていった。
この街には、かなりの数の機械人形がいるようだ。
しかし、どれもこれも稼働しておらず、まるで廃墟のように静まり帰っていた。
「街の中心部にも行ってみよう!」
少女は更に奥へと進むことにした。
「ここが中央制御室みたいだね」
中心部までやってきた少女の前には大きな扉があった。
「さぁて、何か面白いものは無いかな~?」
少女は期待に胸を膨らませつつ、扉を開ける。
そこには、大量のパイプや歯車がひしめき合っていた。
「これは…かなり高出力な蒸気機関だよね?…これが街を動かしていたエンジン…」
そこで、あることに気がつく。
「これ…青銅?」
機関の中心部には、僅かに青銅が用いられているようだった。
「どうしてこんな旧式を使ってたんだろう?もっと効率の良い金属を使えばよかったのに……」
ジリリリリ!
その時、時計からベルが鳴った。
「あっ!昼ごはんの時間!そろそろお腹空いてきたし、食べよっと」
少女はバックパックの中から弁当箱を取り出した。
――
食事を終えると、部屋から出て、再び街の探索を進める。
「これは…なんだろ?」
少女の目の前には、謎の乗り物のようなものがあった。
「全長は5メートル程度…イスみたいなの付いてるし、乗り物かな?」
殆ど老朽化していたが、
金属で出来た本体に、青銅製の翼が3対ついていた。
「これは何に使うものだったんだろう?……動くかな?」
本体のカバーを取り外して、中の機構を見る。
奇跡的に、内部はまだ原型が残っており、修理すれば最低限の動きはしそうだ。
「ちょっと修理してみようかな」
少女は動力源である蒸気機関をチェックした。
「やっぱり完全に壊れてる……でもまだ使えそうな部品もあるからなんとかなるはず!」
幸いなことに、少女は機械工学の知識があり、ある程度なら修理できる技術を持っていた。
――
数時間後……
「直った!!!」
ブォォォォン!!!という音とともに翼が勢いよく動き始め、車体が浮く。
「これ!飛行機だったんだ!」
それは、かつて空を飛ぶことを夢見た者達がいた証であった。
「凄い!こんな速さで飛べるなんて!」
飛行船では得られないその圧倒的な速さに、少女は大喜びしている。
「あっちに行ってみよう!」
少女はより遠くへ行こうと操縦桿を動かす。
が……
バキンッ!!
突然、操縦席に嫌な音が響く。
「えっ!?」
次の瞬間、機体は真っ逆さまに落ちていった。
「きゃああ!!!」
ドゴオオオオン! 大きな衝撃と共に機体が大破する。
「痛たた……」
幸い高度はそこまで上げていなかったおかげで、
大きな傷は負わなかった。
――
ふと、少女は腕時計を見る。
「あっ!そろそろ帰らなきゃ!」
少女は急いで飛行船に乗り込み、離陸させる。
「危なかったぁ……おじいちゃんに怒られちゃうよ…」
少女は冷や汗を流しながら帰路についた。
後ろを振り返って遺跡を見ると、
街に付いている脚が、ほんの僅かに動いたような気がした。