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ゴブリンの集落

『カクヨム様』3万PV達成記念に『小説家になろう様』にでも投稿する事にしました。宜しくお願いします。


レンヌは衛星から送られてきたデータを見て、赤い点が集中している場所を目指した。そこは、赤い点が密集し過ぎて一つの赤い塊になっていた。

『大丈夫か、コレ。凄い数がいるように思えるんだけど?』

とレンヌは危惧した。

先行した小型ドローンがアルテミス1を経由してカメラ映像をレンヌに送る。

「なんだこりゃ! ゴブリンがうじゃうじゃいるぞ」

果たしてそれは、レンヌが危惧する状況だった。

「艦長、これはゴブリンの集落です。収集した情報によればゴブリンは妊娠期間が短いために半年で倍以上になるようです」

「じゃあ、これを放置すると半年後には二倍になっているのか。まるで鼠だな」


『確かに質より量だ、とは言ったけど多過ぎないか?』

 と思った。しかし、せっかく見つけた集団なのだから、放置するという選択肢は無かった。しかも、いくら魔物とはいえ武器も持たない連中だから敵では無い。レンヌは戦う決意をした。

「これはアストロンだけでは時間がかかり過ぎる。大型ドローン二機も使用して討伐してくれ。ただし、魔石を採取する必要があるから胸部を損壊しないようにしろ」

「了解しました。胸部は攻撃対象から外します。では、攻撃開始の命令を出してください」

「目標はゴブリンの殲滅だ。各機はアルテミス1の指示に従い目標を攻撃せよ」


レンヌはアストロンを展開したままゴブリンの集落に近づく。レンヌを見つけたゴブリンが襲ってきたが、四機のアストロンのレーザーで倒されて近づけない。

一方、ゴブリンの集落では上空にいる二機の大型ドローンの副砲レーザーがゴブリンを次々に倒していた。

 ステルス機能により姿を消した大型ドローンが移動しながら攻撃してくるのだ。ゴブリンからしたら、空中のあちらこちらから現れた光が攻撃してくるように見えているはずだ。ゴブリンたちは状況を理解できずに右往左往している。


ゴブリンの数が半分以下になった頃、とつぜん大音量の叫び声が集落中を襲った。 ゴブリンの群れの後方、集落の中央付近から大柄な体を持つ個体が現れた。その姿は集落の入り口にいたレンヌからも見えた。

「アルテミス1、バカでかいゴブリンが現れたぞ」

「艦長、あれは資料にあったゴブリンキングです。集落のゴブリンが百体を越えると出現するようです」

「アルテミス1、ゴブリンキングを倒せ」

「艦長、お待ちください。ゴブリンキングを先に倒すと、配下のゴブリンが散り散りに逃げてしまいます」

「そうなのか。じゃあ、ゴブリンの殲滅を先に終わらせてくれ。最後にキングだ」


集落の表をレンヌが押さえ、裏を大型ドローンの二機が押さえている。大型ドローンはステルス状態で見えないのでゴブリンどもは集落の裏から逃げようと集まる。しかし、ゴブリンが集落から出ることはなかった。頭をレーザーで撃ち抜かれて死体の山を築いていった。

集落の表では、姿が見えるレンヌを攻撃しようとゴブリンが殺到するが、辿り着く前に四機のアストロンのレーザーで倒されていく。

配下のほとんどを失ったゴブリンキングはレンヌに襲いかかった。

 大型ドローンに装備されている主砲の収束型光量子レーザーの威力を最も低く設定して攻撃したが、それでもゴブリンキングの頭は一瞬で消失してしまった。


戦闘が終わってレンヌはため息をついた。

『これ、百体以上いるんだよな。このゴブリン全部の魔石を採取するのか。小型ドローン五機じゃ無理だな』

レンヌは目の前にあるゴブリンの死体を見て、そう思った。

「アルテミス1、街の小型ドローンを応援に呼べるか?」

「揚陸艦で運べばすぐです」

「すぐに手配してくれ。俺は探査車で休ませてもらう」

「了解しました、艦長。お疲れ様でした。ごゆっくりお休みください」


それから一時間くらいしてアルテミス1からレンヌに連絡がきた。

「艦長、全ての魔石の採取を完了しました。大型ドローンを探査車に格納後、収納ボックスから回収してください。洗浄と殺菌を実地願います」

「了解、アルテミス1。ドローンたちのメンテナンスを頼む」

「了解しました、艦長」


レンヌは大型ドローンから回収した魔石をクリーンルームに運び、オゾンガスで殺菌した後に洗浄機で洗った。その後、吸水装置を使って短時間で水気を取った。そして、街で購入した皮でアルテミス1が作った大きな袋に収納した。


揚陸艦をステルス状態にして街の近くの人のいない場所に着陸させた。

レンヌは皮袋を持って街に入り冒険者ギルドに向かう。


ギルドの受付に登録の時にレンヌを担当したエマがいたので、その列に並んだ。

「ゴブリン討伐の依頼完了の報告にきた」

「お疲れ様でした。魔石の提出をお願いします」

レンヌは大きな皮の袋をカウンターの上に置いた。

『こんなに大きな皮の袋は見たことがない。これ全部が魔石なの?』とエマは驚き、動きを止めてしまった。

「エマさん」とレンヌに呼ばれて、エマは再起動した。

「あっ! ごめんなさい。中を確認しますね」

「はい、どうぞ」

 中を覗くと全て魔石だったので、エマは確認作業に入った。大きな木の箱に魔石を出して、エマは再び驚いた。


「こ、これは!」

「暫く待っていてくださいね」

エマはレンヌにそう告げて、小走りで奥にいるサブマスの所に行った。

「どうした? エマ。慌てて」

サブマスのグレイが怪訝な顔つきで尋ねる。

「サブマス、ちょっと来てください」

言われてグレイは、エマと一緒にカウンターに向かう。

「これを見てください」

エマが指差した物を見てグレイは、しばし言葉を失った。

「サブマス?」

エマの声で我に帰ったグレイは思わず叫んだ。





「何故? これが、ここにある!」

「サブマス!」

叱るようなエマの声で、グレイは慌てて口を押さえたが後の祭りである。ギルド中の視線がグレイに集まっていた。

「ああっ! スマン。何でも無いんだ。ちょっと驚いただけだ」


「サブマス、魔石の鑑定をお願いします」

「わかった」

グレイは、バツが悪そうに答えた。

「これを誰が?」

「こちらのレンヌさんです」

 グレイはレンヌを見て呟いた。

「若いな」

レンヌはサブマスのデカイ声を防ぐために両耳を手で押さえていた。

それを見たグレイは、またバツが悪そうな顔をして言った。

「エマ、レンヌ君をギルマスの部屋に案内してくれ。俺はこの箱を運ぶ」

「分かりました。レンヌさん、こちらにどうぞ」

レンヌは状況を理解できないまま、エマについて行った。後ろから、グレイが両手で箱を持って付いてくる。


部屋のドアをエマがノックしてグレイが声を掛ける。

「ギルマス、グレイです。至急の要件です」

「入れ」

ドアを開けて中に入ると正面の豪華な机で大柄な男性が書類の処理をしていた。

ギルマスの机の上に魔石が入った箱を置こうと、近寄ったグレイは机の上を見て瞬時に諦めた。180度回転して後ろのソファーの側にあるテーブルの上に置いた。


「ギルマスは、こちらに。レンヌ君は、そこに掛けて。エマ、お茶を頼む」

素早く場を仕切って、グレイはソファーに腰を降ろした。

ギルマスがレンヌの正面に座る。

「俺がこのギルドのマスターをしているガラムだ」

ギルマスに圧倒されながらレンヌは名乗った。

「レンヌです。7級冒険者です」

エマが魔石の箱を避けて、三人分のお茶をテーブルに並べた。

「ギルマス、この魔石を見てください」

大きな魔石を手にしたグレイがギルマスに言う。

「これは! ゴブリンキングか?」

「鑑定しないと確定できませんが、多分そうだと思います」


レンヌは言った。

「ああ! それはゴブリンキングです。資料室で見たのと同じやつでした」

「君が?」

「ギルマス、彼がこの魔石の持ち主です」とグレイが説明する。

「そうすると、君がゴブリンキングを倒したのか」

「ギルマス、それだけでは有りません。箱の中にあるゴブリンの魔石はたぶん百個を超えています」

「それじゃあ、大集落じゃないか。あっ! キングがいる時点でそうか」

「レンヌ君、パーティーメンバーはどこに?」

「ギルマス、レンヌさんはソロです」と、エマが補足する。

「一人でゴブリンの大集落を殲滅したと言うのか?」

「現に魔石が、ここに在りますから」とグレイが言う。

「レンヌ君、本当に君一人でゴブリンを殲滅したのか?」

「はい、間違い有りません」

「一度、確認すべきだろうな」

ギルマスの言葉に続いて、グレイがレンヌに尋ねる。

「ところでレンヌ君、ゴブリンの死体はどうした?」



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