第一話 王都の夜、攻防
1.
夜。その日、王都ギルスの真ん中あたりに位置するガスール区エルスピエル通り周辺は、異様なほど静かだった。人っ子一人いない通りに魔灯が煌々と虚しく灯っている。
ガスール区役所とそれに隣接するガスール市場のあるこの通り沿いは、酒場などがあるため夜でもある程度は賑わっている場所だった。しかし、今日に限っては異様に静かで、家や酒場の戸や窓は硬く閉ざされていた。
そんな中、闇夜を引き裂くような、
「待ちやがれッ!」
と、いう声が響き渡り、二つの影が家々の屋根を駆けていった。雲間から差し込む月明かりがその影を照らし出す。
一人は黒い外套に身を包んだ痩せこけた醜悪な見た目の男で、もう一人は猫に似た獣の耳と尻尾を生やしたヲサンクと呼ばれる人種の青年だった。
「くそッ! ちょこまかと逃げやがってッ! 大人しくしやがれてんだッ!」
青年は男に向かって怒鳴り散らすようにそう言った。黒い襟巻きが、はたはたと風に靡く。
彼の顔立ちはやや幼い、生意気な少年といったふうで、瞳の色は金、烏の濡れ羽のように艶やかな黒髪は絹糸のように細く、後頭部の辺りで馬の尻尾のようにぎゅっと、纏められていた。彼は龍の髭を編んで作られたシャビスと呼ばれる薄手の防具の上から革製の肩当と胸当を、黄土色のズボンの上からは革製の脛当を着け、脚に巻いた革帯にはカラスの羽根の意匠が施された投擲用の小刀を、腰に巻いた革帯の左右には小物入れと二振の剣を差していた。ブーツは革製の厳つい丈夫そうなもので、首からは安っぽい金色の首飾りをぶら下げていた。
「ハッ、テメェら卯下の猟犬にそう言われて素直に従うかよ、バーカ、」
男は、うえっと舌を出しながらヲサンクの青年に向かってそう言った。
「こんのぉ……、馬鹿にしやがってッ! このクロウ様を舐めんじゃねえぞッ!」
――卯下の猟犬とは、世界最大の宗教であるゲセブ教エラローリア派が咎人病とフェンゲの脅威から人々を守るために各教区に派遣した【神の力】と呼ばれる人智を超えた力を与えられた者達のことである。
咎人病とは、今から二年前に初めてその存在が確認された奇病のことで、代表的な自覚症状に【異端の力】と呼ばれる人智を超えた力の発現が挙げられる。
しかし、その代償はあまりにも大きく、感染者は、異端の力の発現と同時に猛烈な殺人衝動に駆られ、快楽的な殺人を繰り返しながら最期は異形の怪物へと成り果ててしまう。さらに、この病には有効な治療法や特効薬の類が存在せず、それ故に感染者は【フェンゲ】と呼ばれ、恐れられていた。
そして、この咎人病の出現と共に登場したのが【サネスヒルテ】と呼ばれるフェンゲで構成された犯罪組織で、彼らは異端の力を使って世界各地で殺人や要人暗殺などの凶悪犯罪を起こしていた。
各国政府は幾度となく、時に冒険者達を投入してまでフェンゲの捕縛とサネスヒルテの壊滅に当たった。
だが、既存の武器ではまったく歯が立たず、各国はなす術もなく異端の力の前に次々と屈していった。
そんな中、ゲセブ教エラローリア派の最高指導者にしてエラローリア法王国国家元首のグレイシア一五〇世が咎人病の脅威から人々を守るために創設したのが、卯下の猟犬と呼ばれる者達である。
秘術により神の力と呼ばれる人智を超えた力を与えられた彼らは壮絶な訓練を経たのち、各教区の拠点へと派遣され、各国の治安維持組織の協力の元、フェンゲの討伐を行っていた。
クロウは、一ヶ月前にフルビルタス王国での布教活動を統括する第二教区に配属されたばかりの卯下の猟犬で、この日も仲間達と共に連続殺人事件の犯人であるフェンゲを追っていた。
「へへっ、よく言うぜ。……俺をあっさり逃しちまったくせによぉ……」
男は、そう言って手品師のように、にゅっと黒い玉を取り出し、
「……そぅら、これでも喰らえってんだッ!」
と、言ってクロウに向かって投げた。玉は弧を描くようにゆっくりと落ちていき――、
――ぼわん、
と、クロウの目の前で炸裂し、辺りに黒い煙を撒き散らした。
「どわっと、」
クロウは目を咄嗟に襟巻きをずらして口と鼻を覆うと、ザッ! と素早く飛び退いた。
「くそ、何も見えねぇ……」
クロウの周りは黒い煙に覆われていた。ふいっと、上を見上げる。煙は空高く昇っていた。
「……それに、この高さじゃ飛び越えられやしねぇし……」
クロウがそう呟くと、煙の向こうから、
「へへっ、対ヲサンク用の特注品よッ! いくら身体能力が高いとはいえ、その高さは昇りきれねぇだろ? それじゃーな、ヲサンクの兄ちゃん、」
と、いう男の声が聞こえてきた。
「くそぉッ! 待ちやがれッ!」
クロウが悔しそうに言うと、
「……まったく、世話が焼けるんだから、」
と、いう声と共に風がザァッと吹き、漂う煙をサラサラと流していった。
「助かったぜッ! リーゼロッテ」
クロウが振り向き様にそう言う向こうには、二丁の魔晶銃を持った若い女が立っていた。
「悪りぃな、じゃないわよッ」
リーゼロッテはクロウの隣にやって来ると、彼の頭を魔晶銃でコツン、と叩いた。
「私が魔晶銃を使って風を起こしてあげなかったら、今頃、逃げられてたわよ?」
リーゼロッテは《私が》という言葉を強調し、胸を張りながらそう言った。ゆさっと、服を内側から押し上げる二つの豊かな膨らみが揺れる。
「……なぁにすんだよ、リーゼロッテッ!」
クロウが吠えるように食ってかかると、リーゼロッテは澄ました顔で、
「……罰よ、罰」
と、言った。彼女の瞳の色は黒で、|漣のように緩やかに波打つ《緩くウェーブの掛かった》艶やか栗色の髪は肩の辺りまで伸びていた。彼女は、白い木綿の服の上から紅白の紐で鉄板を繋ぎ合わせた胸当と肩当を着け、左右の腰に付けられたホルスターに魔晶銃を一丁づつ差していた。スカートは膝の下までの長さで、ゴツい羊毛のブーツを履き、革製の手袋を着け、銀の髪飾りを付けていた。
「罰だぁ? 一体なんのだよッ!」
「あ、な、た、がッ! フェンゲを逃した罰に決まってるでしょッ!」
リーゼロッテが男を指差しながらそう言うと、クロウは不満そうに顔を顰めて、
「だーかーら、あれはだなぁ……」
と、言うと同時にすかさず投擲用の小刀を引き抜き、
「……あっ、こらっ、逃げんじゃねぇッ!」
と、言いながら腕を鞭のようにしならせ、逃げようとする男の足元に向かって、
――ヒュッ!
と、投げた。男の足元に小刀がトス、と突き刺さる。それを見たリーゼロッテは、
「……なんで、フェンゲに当てなかったのよ。その方が手っ取り早いじゃない。……どうせ、討伐するんだから、」
と、言った。
「……あー、もう。いちいちうっせぇなぁ……。いいじゃねぇかよ別にッ!」
「うるさいとは何よッ! そもそも、アンタがあんなヘマしなければ……」
「ああッ? 俺のせいだってのかよッ⁉︎」
リーゼロッテとクロウがギャーギャーと言い合っていると、
「二人とも、そんなことしてる場合じゃないでしょ?」
と、言う声と共に二人の目の前に若い女が降り立った。彼女の瞳の色は灰色がかった茶色で、淡い金色の髪は短めに切り揃えられていた。彼女は、シャビスの上から大きめのだぼっとした服を羽織り、股下ギリギリの際どい丈のズボンを履いていた。太ももに巻き付けた革帯には銀色に輝く小さな筒のようなものが付けられていた。靴は上質な龍の鱗と牛革を使って作られた高級品だった。
「フェリッ!」
リーゼロッテがそう言うと、フェリは、
「それよりも、ほら、早くしないとフェンゲが逃げちゃうよ?」
と、言って前を指差した。見ると、先程の男が逃げようと背を向けていた。
「……ンなこと、言われなくても――」
クロウはそう言って腰に差した二振りの剣を抜くと、
「わかってるってのッ!」
と、屋根を強く蹴って逃げようとする男との距離を一気に詰めた。
「オラァッ! 逃がしやしねえぞッ!」
クロウはそう言いながら剣を交互に振るい、男に向かって鋭い斬撃を放った。交差する軌跡が男を切り裂く。だが、しかし――
バツの字に切り裂かれた外套が、パサと屋根の上に落ちる。
クロウが切り裂いたのは男が着ていた外套だけだった。
「ふぃ、危ねぇ、危ねぇ……」
男は空中で一回転しながら着地すると、ふひっと口角をわずかに上げた。「……噂は聞いちゃいたが、マジで容赦ねぇな。……ハハ、大戦中を思い出すぜ、」
「……すばしっけぇ奴だな、」
クロウが舌打ちをしながらそう呟くと、
「……まったく、何をやっているんだか、」
と、真っ直ぐな凛とした声と共に燃えるような赤髪の青年が男の真後ろに降り立った。
「うっせぇよ、イヅナ」
クロウは呆れたようななんとも言えない表情を浮かべながらそう言った。
彼の瞳の色は青で、髪は絹のようにサラサラとした光沢を帯びていた。彼は、上等そうな白い服の上から黒い添毛織の上着を羽織り、黒い長ズボンを履いていた。靴は鎧蜥蜴の腹皮を使用した最高級品で、両肩の繊細な金象嵌が施された鉄製の肩当てには目の覚めるような鮮やかな赤色の添毛織のマントが取り付けられ、腰のホルダーには黒い鞘に納められた長剣を差していた。
「……だいたい、テメェが余計なことすっからこんな事になっちまったんだろうが、」
クロウが機嫌悪そうに顔を顰めながらそう言うと、イヅナは、
「はは、悪かったとは思ってるよ」
と、言うと、続けて、
「……でも、そもそもの発端は君がいき急ぎすぎて先走ったことだと思うけどな?」
と、言った。
「……ンだとおぉッ⁉︎」
クロウが唸るようにそう言うと、男は火の付いた魔道具片手に、
「へっ、余所見とはいい度胸だなぁッ! く、た、ば、り……、やがれッ!」
と、言いながら火の付いた無数の小さな玉をクロウ達目掛けて放り投げた。
「二人ともッ! 喧嘩はあとにしてちょうだいッ!」
リーゼロッテはそう言いながら魔晶銃を構え、引き金をぐっと、引くと、
「……凍りなさいッ!」
と、言いながら冷気漂う青白い魔弾を発射した。男の放った玉が一瞬で凍りつき、屋根の上や地面へと落ちていく。何かが割れるような小さな音が響いた。
「……チッ、」
男が舌打ちをすると、クロウは、
「さっ、覚悟して貰おうか?」
と、言って、ポケットに手を突っ込み、弄り始めると、
「……あれ? 確か、ここに……」
と、言いながら、ポケット、懐の順で忙しなく手をバタつかせて何かを探したあと、
「……やべ、落とした」
と、小さく呟いた。
それを見ていたリーゼロッテがわざとらしく深すぎるため息をついたあと、
「……拾っておいたわよ、バカ、」
と、言って、懐から四つに折り畳まれた紙を取り出して、男に見せるようにして広げた。
それは、卯下の猟犬達が討伐状と呼ぶ金銀や極彩色で彩られた絵画のように装飾的な書類だった。
表面にはエラローリア装飾文字と呼ばれる文字でフェンゲ討伐の趣旨が記されており、一番下にはクロウ達の直属の上司であり第二教区の最高責任者でもあるクーロット・アルテメス教区長の署名と印が押されていた。
リーゼロッテは軽く咳払いをすると、文面を淡々と読み上げ始めた。
「……人の理を外れし咎人よ。汝、アルバ・アミルは、その異端の力を己の私利私欲のために使い罪のない人々を殺めた。これは許されざる――」
「……ハッハーッ! 隙だらけだぜ? お嬢、さんッ!」
アルバはそう言いながら腕を剣のように変化させると、屋根を蹴って素早い動きで一気に間合いを詰めた。「――死ねぇッ!」
「……危ねぇッ!」
クロウが剣を放り投げ、ダッとリーゼロッテに駆け寄る。
アルバの腕が振り下ろされ、リーゼロッテの体を襷掛けに切り裂――かなかった。
ハラ……。
二つに切り裂かれた討伐状が、すいすいと宙を漂う。リーゼロッテはクロウに押し倒される形で屋根の上に倒れていた。
「大丈夫か?」
クロウがそう言うと、リーゼロッテはきょとん、とした顔をしながら、
「あ、ありがと……」
と、言った。
「そっか、よかった」
クロウはふっ、と笑った。何気ない爽やかな笑顔。リーゼロッテの顔がボッ、と僅かに紅潮した――が、クロウの手が自分の胸の上に置かれていると知るや否や、キッと、顔を険しくさせ、
「どこ触ってんのよッ! スケベッ!」
と、叫びながらクロウを思いっきり蹴り上げた。
「――んぎぃッ!」
クロウは情けない声を上げながら真横に倒れ込んだ。リーゼロッテの蹴りは運悪くクロウの股間を直撃していた。
「……り、リーゼロッテッ、テメェ、ふざけんなよッ……」
股間を抑え、涙目になりながらそう言うクロウの額には青筋が浮かんでいた。
「……えっと、その……、ごめんなさい」
流石にやり過ぎたと思ったのか、リーゼロッテはバツの悪そうな顔をしながらそう言った。「……えっと、もし潰れてたら神の力で治してあげるから……」
――神の力とは卯下の猟犬だけが使える魔法とは異なる人智を超えた未知の力のことで、フェンゲが使う異端の力の対極に位置し、対抗できる唯一の力でもある。
神の力は、卯下の猟犬の最終試験でもある祝福の儀と呼ばれる儀式に於いて与えられ、この力を得て初めて卯下の猟犬となることが出来る。
また、異端の力と同様に神の力にもさまざまな種類が存在するが、どの力を得るかは与えられるまで誰にも分からず、それは儀式を司る祭司達も同じである。
リーゼロッテの持つ神の力は、対象者の体を活性化させ傷や怪我を癒す力であり、対象者が生きてさえいればあらゆる傷や怪我の治療が可能である。
「……わ、忘れんじゃねぇぞ? 忘れたらマジでぶっ殺すからな……」
クロウがそう言うと、アルバは軽く笑いながら、
「はは、仲間割れかぁッ?」
と、言った。
「うっせぇ……」
クロウは顔を顰めながらゆらりと立ち上がると、屋根の上に投げ出された剣を拾い上げ、構えた。
「さ、降参するなら今ですよ?」
イヅナはそう言うと、ゆっくりとした動作で剣を引き抜いた。青白く美しい刀身が闇夜に浮かぶ。
「……ふん、降参しようがしまいがどのみち殺すんだろ?」
アルバがそう言うと、クロウは、
「ああ、」
と、答えた。
「へっ、……なら、降参せずに争うまでよッ! それが、サネスヒルテの掟だからさぁッ!」
そう叫ぶアルバの体が口から黒い塊が、ぬぼっと飛び出し体に、ぬちゃぁと纏わりつく。
「……ハハ、ハーバッハッ!」
黒い塊に侵食されながら笑うアルバの体は飴細工のようにその姿を変えていった。
「……させるかぁッ!」
クロウがそう言いながら小刀を投げつける。小刀はアルバに向かって真っ直ぐ飛んでいき、そのまま吸い込まれていった。
「……チッ、ダメか」
クロウが舌打ちをしながらそう呟くと、
「効かんなぁ、」
と、いう声が聞こえてきた。アルバはドス黒い鎧に身を包んだ騎士の姿に変わっていた。
「……さあ、いくぞッ!」
アルバはそう言うと、腕を魔晶銃のような形に変化させ、クロウ達に向けた。
「まずは貴様からだッ! ヲサンクの小僧ッ――死ねぇッ!」
銃口から無数の魔弾がクロウに向かって放たれる。クロウは、
「……おっと、よ、ほっ……、」
と、いう掛け声と共に曲芸でもするかのような軽快な足取りで攻撃を躱していき、
「――オラァッ!」
と、いう掛け声と共に投擲用の小刀を素早く抜いて銃口目掛けて投げた。
――ガチッ!
鈍い音が響き、魔弾が止まる。小刀は銃口に突き刺さっていた。
「むうッ!」
「いっくぜぇぇッ!」
クロウはそう叫ぶと、屋根を強く蹴って高く跳躍した。突然、消えたように見えたのだろう、アルバは、
「……き、消えたッ⁉︎」
と、驚きの声を上げたあと、
「チィッ!」
と、呟きながら懐から大量の玉と火の付いた魔道具を取り出した。――その瞬間、
「……させないわッ!」
リーゼロッテの声と共に、
――バンッ!
と、いう音がして玉がアルバの腕ごと弾け飛んだ。
「……んぎぃぃぃッ!」
アルバの悲鳴が響き、上空から、
「……こ、れ、で、も……、喰らえぇぇぇッ!」
と、叫びながらクロウが急降下してきた。
――バキィッ!
鈍い音が響く。
クロウは、双剣でアルバの両肩を斬り裂きながら彼の背後に着地した。傷口から溢れ出す血。
「ギャァァァァァッ!」
と、耳をつん裂くような悲鳴が響く。
「――あとは任せたッ!」
クロウが素早く飛び退きながら叫ぶと、イヅナがそれに応えるように
「全知全能なる我らが神よ……。その寛大にして慈悲深き御心で我に全ての厄災を断ち切る力を与えたまえッ!」
と、呟きながら剣を一閃させた。
悲鳴が止まり、アルバの体にピッ、と赤い縦線が走り、くぱぁ……と、二つに分かれる。そして、そのままデロリと赤い断面を晒しながら倒れていった。ドチャ、という音が二つ聞こえた。
「……ふぅ、」
イヅナは軽くため息をつきながら剣を振るったあと、鞘に納めた。
ふと、アルバの遺体が光り輝き始めた。
――フェンゲとなった者は、その殆どが死ぬと肉体が光の粒子に変化し骨の欠片一つ残さずに跡形もなく消滅していた。これは咎人病の発生から今に至るまで変わらず、それ故に発生から三年が経とうとしているのにもかかわらず未だに有効な治療や感染経路の詳細な特定には至っていなかった。
アルバの体は光り輝きながら小さな光の粒へと形を変え、解れるようにして天へと昇り始めた。それは光の柱、或いは雨のような幻想的な光景だった。クロウ達は全ての光の粒が天に昇り切るまで目を閉じ、手を合わせていた。そして、全ての光の粒が昇り切り、辺りがすっかり静かになると、
「汝の罪が赦され、天に召される事を願う……」
と、呟き、ゆっくりと目を開けた。目の前には二つに切り裂かれた服だけが残されていた。