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〜1章〜【仕立て屋のトミー】

「団長は南の森の魔女の討伐に行ってます!もう何日も帰ってきていないですが、団長なら大丈夫だと思います」


なるほど今はここにいないのか、何日も帰っていないのは心配になるはずだが絶大な信頼があるのだろう。


「団長さんは強い方なんですね!会ってみたいです」


「私が知っている限り最強です。団長の戦い方は参考になる所が多いですし、フィンネル騎士団は団長に鍛えてもらっているおかげでここまで強くなれましたからね。ぜひ、コウガミさんも会ってみる事をおすすめします」


どんな感じなのだろうか?俺も技術を教えてもらいたい所だ。魔女の所に行っているならすぐに会えるだろう。


「それはそうと王様をお待たせしてはなりません!早く仕立て屋の所は急ぎましょう!」


俺たちはシラードに連れられ仕立て屋の所へ案内された。


「ここが、仕立て屋トミーです!トミーさんはエルフで、この都ができた時からいる方なんです。この都の事なら何でも知ってますよ!」


仕立て屋、、、周りの建物と比べると草が生い茂り、よく分からない品々が並び異質な感じが漂っている。エルフが店主というのもうなずける。この都ができた時からというと、この辺の歴史にも詳しいかも知れないな。時間があれば色々教えてもらおう。


「お世話になってますー!副団長の使いで来ました!」


中に入るとより一層と不思議な空間になっている。すると、奥の方から真っ赤な帽子をかぶった老婆が現れた。


「シラードちゃん久々ね〜、急ぎの用事かい??」


イントネーションが独特だ。なまっている様で聴き取りやすくもある。


「はい!実は神の使徒様がいらしていて、これから王との謁見を予定しています!そのため副団長より服装の仕立てをよろしくお願いしたいのですが?」


「そうだったのね!神の使徒っていうのはそこの白いケットシーちゃんかしら??ふーんこの子は何か呪いがかけられているみたいね。ちょっといいかしら??」


そういうと、ミルキーに向かって手をかざし呪文のようなものを唱えた。


「シル・ラスターヴァ・ウル・リ・フォース」


すると、ミルキーの周りに光の球が集まり包み込み始めた。光がミルキーを覆いつくすとトミーは、


「とりあえず時間がかかるみたいね。その間にあなたの服を仕立てましょう。その服はブレザーっていう物よね

?昔、この都に来る前に見たことがあるわ。珍しい物を着ているのね。」


ブレザーを知っているだと!?という事はこの世界には他にも転移してきた人がいたって事か!知りたい。


「ブレザーを知っているとは驚きました!それを着ていた人は今は何をしているんですか?」


「今はもういないわ。ふふっあの子の事は今でも思い出すわね〜。まぁ今は仕立ての方を先にしてしまうね。とりあえずそっちの方で服を脱いでちょうだい」


そう言われ服を脱いで待っていると、トミーは無地の布を持ってきて何かを呟いた。すると布が宙に浮かび、俺の方へと近づいてまとわりついてきた。


「おぉっ!?」


布が体の周りを一周すると、瞬く間にちゃんとした服装に変わっていた。その後もボタンや装飾品などが宙に舞いながら服につけられていった。


「最後の仕上げに、これをクウの花を添えてと、はい出来上がり!」


鏡を見てみると、全身が黒紫の色に統一してあり、やや丈は長めでゆったり、靴まで作ってくれている。その場で動いてみるもこんなに動きやすい服は初めてだ。


「よかったら、このブレザーを私にくれない??もちろん、タダとは言わないから」


ブレザーが無いと困ることは無いよな?そう思い、今後情報を得たい考えもあるため要求に応じた。


「わかりました。その代わりトミーさんとこの辺りの話を聞きたいのですが良いですか??」


「もちろんいいわよ!王様とのお話が終わったらまた寄ってちょうだい。それと、ミルキーちゃん?って言うのかしら、呪いの種類までは分かったんだけども、特殊なスキルの影響で途中までしか解呪できなかったわ〜。ごめんなさいね」


そういうとミルキーがこちらへトコトコと近寄ってきて、


「トミーさんありがとうございました。おかげで言葉を思い出すことができました!助かりました」


なんとミルキーは話すことができるようになっていた。まぁ普通の動物では無いと思っていたがこれは驚いた。


「ミルキー!話せるようになったんだすごいね!


「クロ、あなたにはあの森で助けてもらったよね。本当にありがとう!言葉で伝えられて良かった」


「俺もミルキーには助けてもらって本当に助かってるよ!ありがとう!ところで、本当の名前は何でいうんだ?」


「ミルキーでいいですよ!本当の名前はあって無いようなものなので」


話せるようになったミルキーと色々話していると、トミーが真剣な顔をして言った。


「ミルキーちゃんの呪いは、私では完璧に解呪できないわ。これを解くことができる可能性があるとしたら、恐らく宮廷魔導士クラスか、ラーズ大陸にいるという聖女様くらいかしら?いずれにしても、難しい話ね」


ミルキーにかけられた呪いはそんなにも強力なのか。

誰にそんな事をされたのだろう?何か大きな事情がありそうだ。


「そんなことより!早く王様の所へ行った方がいいわよー!あの王様はせっかちだから待たせると怖いから」


トミーが赤い帽子を揺らしながら笑っていた。シラードが焦った様子で、


「みなさん!副団長から連絡が来ました!王様が早く会いたいとの事だそうです!」


いよいよ、王様の住む城へ向かうのであった。




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