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二ページ目

<簡単な人物紹介>


花ちゃん

皆お馴染みトイレの花子さん

スーパーポジティブ幽霊

お友達100人出来るかな日記を手に、あらゆるトイレにお邪魔します。


小鳥ちゃん

元いじめられっ子。

トイレで一人泣いていたところを花ちゃんに助けられたのか驚かされたのか分からないが、とにかく花ちゃんの一言で救われた少女。

花ちゃんの最初の友達。


※※


これはね、とある町のとある中学校のお話なんだけれど、三階の女子トイレ、右側三番目のトイレには花子さんが住んでいるんだって。

もし彼女に会いたいなら、三度ノックをしてから鈴を鳴らしてこう言うの。


花子さん、遊びましょう、って。


そうすればきっと答えてくれるわ。

だって花子さんは、誰かが遊びに来るのを今か今かと待っているのだから。



「いやいや、ないない。

今時中学校の怪談で花子さんって」


「でも小学校の頃は怖かったなぁ。

一人でトイレ行けなかったし」


「今でも、の間違いじゃない?」


「つぐちゃんひっどーい。

いいもん、もし怖くなったら小鳥ちゃんについてきてもらうから」


「小鳥、迷惑なら迷惑だってはっきり言いなよ。

雲雀ってばすぐ甘えるんだから」


サバサバと物怖じせず話す彼女はつぐみちゃん。

その横にいる小動物感を漂わせる小柄で怖がりな彼女は雲雀ちゃん。

二人とも小鳥ちゃんのお友達です。


(トイレの花子さんか。

まさかね)



「うん、まさかよ。

まさかまさか、そんなわけないって」


まさかまさか、さかさまか。

あぁ、段々と混乱してきました。

そんなことを思いながらも、小鳥ちゃんは気になって三階の女子トイレまでやってきてしまいました。

またあの明るい花ちゃんだったら嬉しいなという期待半分、彼女とは違う怖い花子さんだったらどうしようという恐怖半分。

あまり嬉しくない半分こです。

箱の中にいるのは猫なのか、それとも猫科ではある虎なのかみたいな心境です。

現状最も開けたくないパンドラの箱部門第一位ですね。

開けずに帰っても良いのですよ。

でも小鳥ちゃんは、叶うならもう一度花ちゃんに会いたかったのです。


コンコンコン


シャラシャラシャラ


三度のノックとキーホルダーの鈴の音、そして小鳥ちゃんが唾を飲み込む音が響き渡ります。

なんという緊張感。

小鳥ちゃんは再度ごくりと唾を飲み込み、たっぷりと息を吸い込みます。


「げほ……っ、は、はーなこさん、遊びましょう?」


吸い込みすぎた息を上手く吐き出せず、若干むせましたね。

しかしまぁ許容範囲でしょう。

さて鬼が出るか蛇が出るか、まぁ出るとしたら幽霊なのですが。


ぎぃ、と扉がゆっくりと開きます。

小鳥ちゃんは目を瞑りたい衝動を必死に堪え、涙目になりながらじっと待ちます。


「わぁーい!お姉ちゃんだーー!!」


「ぐえっ」


おめでとうございます。

お待ちかねの花ちゃんの登場です。

小鳥ちゃんだと分かっていた花ちゃんは勢いよく飛び付き、そのままぎゅうぎゅうと抱き締めます。


「もう!そんなに花ちゃんに会いたかったのね!」


相変わらずのポジティブさも健在です。

幽霊の彼女にこう思うのもなんですが、息災で何よりですね。


「は、花ちゃん?なんでここに」


「うんとね、そろそろお引っ越ししたいなぁって思ってて、じゃあお姉ちゃんのいるところに行こうかなって。

だから、来ちゃった」


どこで覚えてきたのでしょう。

てへぺろ仕草が実に可愛らしいです。


「それは嬉しいけど」


小鳥ちゃんが複雑な表情をするのは、花ちゃんの夢を知っているからなのです。

自分がその足枷になってしまっているのではと不安でいっぱいなのです。

どう言葉を返すべきか悩んでいると、廊下の向こうから微かに声が聞こえてきました。

どうやらお友達二人が探しに来てくれたみたいです。


「おーい!小鳥ちゃんやーい!

どこにいるのー?飴ちゃんあるよー」


「雲雀。

そんなんで釣られるのはあんたと子供ぐらい」


「わーい!飴ちゃんだー」


釣られましたね。

鮮やかなフラグ回収です。

しかし花ちゃんはトイレの外には出られません。

何せトイレの花子さんですから。

トイレの外に出てしまったらただの花子さんになってしまいますからね。

そのことを忘れていたわけではないですが、うっかり者の花ちゃんは見えない壁にぶつかり、すってんころりん華麗な後転を決めてしまいました。


「あ、小鳥いた。

?その子どうしたの?」


「えっと、話せば長くなるといいますか」


困りましたね。

どう説明しましょう。

しかし行動派の花ちゃんは瞬く間に立ち上がると、悩む小鳥ちゃんの横に並び真っ直ぐ手を差し出しました。


「初めまして!花です!

お友達になって下さい!」


「えっ?この子小鳥ちゃんの妹?!

めっちゃ可愛いー!」


「?妹って?」


「仲良しのお兄ちゃんとかお姉ちゃんがいる人のことだよー」


一応訂正しておきますが、だいぶ偏った知識です。

雲雀ちゃんは妹作品が三度の飯より、否、三度の飯のおかずにしちゃうぐらい大好きなのです。

そしてそれを知らない花ちゃんは目をキラキラと輝かせます。


「はい!花はお姉ちゃんの妹です!仲良しです!」


「ちょっ!」


「そっかそっかー。

いやー、仲良きことは美しきかな」


「雲雀、小さい子に間違った知識をいれない。

でもまぁ、小鳥の妹なら私達も友達だね。よろしく、花ちゃん」


「私達のこともお姉ちゃんだと思ってなんでも言ってねー」



お姉ちゃんなお友達が2人増えました。

(お友達100人まであと97人)



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