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prologue とある記録の前書き

以前コミティアに同名のタイトルの小説を頒布していました。

それを一部加筆修正したものになります。

 明日にでも世界は滅ぶかもしれない。

 もしもそんな世界だとしたら貴方はどう生きますか?





「もし明日世界が滅ぶとしたらどうする?」

 遠い昔のことだ、まだ世界は明るく、大地は広く、多くの人々が闊歩していた時代にそんな言葉遊びが、問いかけがあったという。

 それは例えばの話だ。ただの質問にしかすぎず、かつてはただの空想を語るだけの問いでしかしかなかった。

 何故ならば当時は誰も本当に世界が崩壊し、滅亡するなどと思いもしなかったからだ。世界滅亡という言葉はただの空想上のでしか存在しなかったからだ。

 誰もが世界滅亡はただのフィクションであり、これから先ずっと人類は繁栄し続けるのであろうと信じてた。誰もが崩壊していく未来が現実になるということを信じていなかった。

 このまま人という種は続いていくだろうと。

 けれども、人類繁栄の先には希望などなかった。

 続いていくと思われた人類の歴史は、世界の、星の歴史は唐突に終止符を神によってうたれた。

 人類の目の前にそびえたつ現実は確実に迎える世界の死、ただそれだけであった。

 最初はエネルギーの枯渇からだった。

 生活を円滑に回すためのエネルギー不足は人々を混乱へと陥れた。

 そして、それに続いて食物の不作が人々をさらに混乱へと誘った。

 天候不良に水不足。室内育成を行おうにもエネルギー不足がそれを阻む。太陽光や風力などの代替エネルギーだけで賄うのにも明らかな限界が近づいていた。

 各地の異常気象は何も人類だけに悪影響を及ぼしていたわけではない。

 海に浮かぶ大量の海洋生物の死骸。

 自然火災によって焼け野原になった森林。

 本来の生息地域から遠く離れたところに現れた動物。

 経済は破綻し、人々の生活は一変。

 そして神様が最後に人々から奪ったのは大地そのもの、すべての動植物たちが生きる場所そのものを文字通り奪った。

 いつしか人間の寿命も全盛期の半分以下、否、おおよそ三分の一以下にまで低下していた。もはや地上に残されているのはかつて若いと分類されている年齢の者たちだけだ。

 人類繁栄の影はどこにもなく、かつての技術はただの過去の遺物となった。

 ただただ世界は終わりへと向かい続け、その世界に残されたわずかな人々はその終焉を待つのみ。

 そしてこれは世界の終末に生きた者たちの話である。

 これは終末世界で、残されたわずかな大地と時間の中で生き続けた者たちの記録である。

 次の世界で生きる者たちよ、、どうか彼らを少しでもいいから知ってほしい。最後まで生きようと思い、生き続けた者たちのことを。

 わたしの大切な友人たちを。


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