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第67話 vs最初の特異点

 ――カキーン…………。



 刃と刃が叩きつけられる金属音が、サバンナにこだまする。激しい剣戦。楓の動きは予想よりずっと速い。


 けれども私はまだ、本気を出していない。出さなくても、なんとかなるから。


「なかなかやるじゃないですか? ですが、自分の本気はここからですよ? 着いていけますか?」


 楓が、黒く禍々しいオーラを纏う。動きもさらに速くなる。ぶつけた時の剣の重さも…………。


 その重さは、〈クリムゾン・ブレード〉の倍以上。すぐに体勢が崩れる。


(シナリオ通りだ)


 私が書いた内容には、倒れるまでのシナリオは書いたが、勝つまでのシナリオは、書いていない。


 勝ちルートは、私自身が作る。

 ガデルには申し訳ないことをしてしまった。


「ほんとすまねぇ…………」


「なにか言いましたか?」


「いや、なんでもねぇよ。続けようぜ」


 楓の切り返しを、勘が先に予想する。私は、その攻撃をわざと受けて、HPを消費。反映してもらった負荷が、脳全体にかかり、激痛が走る。


 でも、気にしない。これが私の目的なのだから。藍が書いた内容は、私の脳についてのことだった。


 その数値は、ありえない数字だった。今言えば、ストーリーが大変なことになるため、話すことはできないが…………。


「ルグア、先ほどの攻撃をなぜ受けたのですか? これで、一度負荷を与えられ、しばらく動けないはず…………」


「…………それは、…………どうかな?」


 私のゲーム機には、リミッターがいくつかある、特注品。というか、運営が没にした試験品だ。


 3ヶ月前まで、兄が買ったゲーム機を使っていた。


 その後、運営が直接ゲームをインストールできるようにするため、贈られたデバイスを、今使っている。


 だが、運営の手違いで贈られてきた試験品で、リミッターが多い。使用者の意思で解除やロックがかけられるのが、特徴だ。


 そうしている間に、私のHPはほとんど消えていた。


(そろそろだな)


「楓、魔法使ってもいいか?」


「ええ、いいですよ。自滅は目に見えてますが…………。この一撃で、貴方のHPは……全損…………」



 ――Z+魔法 ジャッジメント・レイ・ラビリンス!!



 辺り一面緑が広がる。Z+魔法=特異点魔法。自然に最上級魔法として定められた。


 鳴り響く雷鳴。天の怒り。相手は1人だけなので、範囲は狭い。


 落雷が、楓を目掛けて降り注ぐ。その間に私は回復魔法で、HPを満タンにして、寸止めで刃を向ける。


「ま、こんなもんかな? これでわかっただろ? 私は、戦争以外で害の無い人は倒さない。相手が何考えてんのかはどうであれ、私の実力でわかるんじゃないか?」


「それは、一体何のことでしょう? 自分には、よくわかりません。ですが、敵という考えは、この戦いを通じたとしても、変わらない」


 楓が、太刀で勢いよく薙ぎ払う。その反動を使い、私は回転をかけて、太刀を弾く。


「なら、私が全てを覆す。お前が私を殺して世界を戻すか……。私の仲間たちが、別の方法で元に戻すか…………。勝負だ!!」


 この発言に、楓が少し俯き、しばらく考えたあと、


「では、その勝負。引き受けましょう」


 新たな戦いが、幕を開けた。


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