第63話 未確定の団長
「結成から1年経ちましたが、団長を決めていませんでしたよね?」
セレスが、ボソリとそのようなことを呟く。思えば指示者はルグアが基本的に行っていたが、統一者は決めてなかった。
勘では、やはり自分になると言っている。でも、その間に何かしらのハプニングが起こることも、このメンバーでは否定できない。
なぜなら、約1名が…………。
「はいはーい!! ウチだんちょ〜やりたーい♡ どう? どう?」
一人騒がしくはしゃいでいたからだ。藍は、やりたい放題で、みんなを困らせる。
「そうだな……。でも、めんどくさいことばっかだぞ? 私は、ギルマスやったことはないが、内容は覚えている」
「それじゃあ……、教えて〜!!」
「ちょ、くっつくな!! 気色悪い……。いくら元クラスメイトでも、やり過ぎだぁ〜あぁ〜。うぉっとっ!? あぶねぇ〜」
寄ってたかって剥がれない藍に押され、危うく一緒に精錬かまどへ入るところだった。
つい最近も、剣を作ったいたため、火の気が残り、時間が経った今でも2000度以上の熱がある。
このゲームの鉱石は、6000度で、ようやく溶けるものが多く、規格外のルグアならまだ大丈夫だが、いくら異名持ちでも、常人の藍は全損しかねない。
ルグアは、かまどに踏み入れた瞬間、藍を勢いよく突き飛ばし、反動で熱気漂う炉の中に倒れ込む。
じわじわと伝わる高温の風。少しずつ減少するHPゲージ。
それより前に、狭い空間の居心地の良さに、普通ではない感覚を覚える。
「モードレさん大丈夫ですか? 早く出た方がいいですよ?」
ガロンが心配そうに私を見つめる。確かに、本来なら誰もがそう思うだろう。
けれども、なぜだかこの安心感が、藍に対する自身の怒りを鎮める。だんだん、ここから出たく無くなった。
「その……。私は、ここで会議に参加してもいいか? なんかわかんねぇけど、落ち着く」
「…………アハハ、……了解です。では、本題に移るので、皆さん準備して欲しいです」
「「はい!!」」
ガロンの合図で、一斉に部屋の角に移動する。ルグアは、炉の中から手だけを出すと、
――G級魔法、ラウンドテーブル、展開!!
と、思考内で唱え、1つ繋ぎの円形の机を、広いリビングに出現させる。
みんなはそれぞれの席に座り、ガロンが議題の用紙を配り始めた。
「モードレさんは、大丈夫ですよね。念のため渡しますが、燃やさなようにして欲しいです」
「ああ、わかってる。サンキュー」
資料には、藍が知りたがっていた、ギルマスの役割等、様々な情報が記されていた。
文書作成者はルグア、複製者はガロンの共作だ。一人3枚の用紙を確認し、意見を交換。
藍には難しい内容だったようで、机に突っ伏していびきをかく。
約1時間の会議は、ハプニングが少なく、ルグアは、団長兼司令官として活動。
秘書にセレスとレーナが選ばれ、副司令官にルクスが就任。
地方担当は、北海道がノアン、東北地方が藍、関東地方が努、中部地方がガロン、近畿地方がノンノ、中国地方が彰、四国地方にガイア、九州にルナ。
各地方の現状維持に関わるメンバーとなっている。ルグアが常時情報提供を行い、地方担当が偵察。
このような生活が幕を開けた。




