第59話 受注クエスト:Mob雪崩警戒区域①
――とは言ったものの…………。
「りんり〜ん♡ どこまで歩くのぉ〜?」
「なんで、お前だけ着いて来てんだよ!!」
私の背中を追ってくる藍に、力強いツッコミを入れて、ため息をつく。
藍はどうしても、私の近くに居たいらしい。自分の本音は、1人で素早く終わらせたいのだが、そう簡単にはいかないようだ。
(まあ、藍がどこまで着いていけるのか、試してみるか…………全てはそこからだな)
ルグアは、藍を残して最大加速の5000倍速で駆け抜ける。目的地は、青森県の津軽地方。
今回は、飛行船等を使わずに徒歩で移動していた。理由は、基本ソロで活動するのが1つ、もう1つは、乗り物扱いにされたくないという、自分のわがままである。
ルクスやセレス、努たちは、しっかり受け止めてくれたが、約1名話を聞かない人がいた。
そう、問題児の藍のことだ。彼女は、確かに戦いの腕はとても良い。でも、この案件、建物や自然等への被害を最小限に抑えるという難題付き。
爆破魔法と投擲しかできない藍には、相性が最悪だった。そのため何度も、拒否の弁を述べたが、勝手にくっついてきたわけだ。
(ま、普通の徒歩じゃ6日以上かかるから、その頃には解決するだろうし……)
等倍速から×5000倍。舗装されていないゲーム内では6日以上かかる旅路も、数分で踏破できるスピード。
白神山地を通り過ぎると、モンスターで溢れ返った村を見つけた。
向かって正面に、村長らしき高齢男性が手を振っている。
「ルグア様!! こちらでございます。どうかお助けを…………」
ボロボロに破れた衣服を身につけていることから、絶大な被害に見舞われているようだ。
ルグアは、ボールのように転がる生き物を指差し、こう問いかけた。
「じいさん、敵はあのアルマジロみたいなやつか?」
「ええ、そのモンスターです。名前は〈アナグリム・ノワール〉。最近繁殖力が増して、手に負えなくなり、依頼しました」
「そういうことだったのか…………。ん? うわやべっ!? 拠点に武器置いて来ちまった。なにか代わりになるものは…………。じいさん、素手で戦ってもいいか?」
「構いませんが、〈アナグリム・ノワール〉は、人肌に触れた瞬間、コンクリート造りの建物を消し炭にするくらい強力な電流を…………」
「ハハハ、それおもしれぇじゃん。決めた、やっぱ素手でやる!!」
両手を胸の前に持っていき、敵の方向に身体を向けた。
続いて、無言魔法で自分に注目を集めると、〈アナグリム・ノワール〉が一直線にルグアの方へ転がってくる。
1体ではなく、一度に50体。もちろん、まとめて相手するしかない。
加速を最大で使うと、運搬ほどではないが、膨大な疲労感に襲われるが、短時間で到着したことで回復済み。
村の存続がかかった戦いが始まった。
(第60話に続く)




