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第55話 戦争後の帰り道

「……んあぁ〜? うっ!? うぅ〜、頭が……痛い……………………」


 ノアンこと田室井綾人が手配した、飛行船の一室でベッドに横たわる、黒髪の少女が目を覚ました。


 彼女は、思考の限界を超えた脳への刺激に耐え切れず、寝そべったまま、悶絶して動き回る。


「ルグアさん、今はゆっくり眠って休んでいてください。いくら長時間のゲーム慣れをしていても、あんなに、激しく動いて戦うのは…………」


 声をかけたのは、ノアンだ。髪の毛は、明るいスカイブルー。男性にしては大人しく、落ち着いた印象を感じる。


「そうですよ、ルグアさん。あなたは、あまり運動しないし体力も…………。フルダイブでも必要でしたっけ?」


 次に聞こえたのは、セレス。髪の毛は、ノアンよりも白が強いパステルブルーのショートボブ。


 そんな2人に、痛みが気にならなくなり、起き上がったルグアは、


「…………多分な。詳しくはわからねぇけど、私がこうなったわけだから、可能性はあるんじゃないか?」


 と、意見を述べる。


「大丈夫なんですか? 無理は禁物だと思いますよ。まだ、13分しか経っていませんし」


「あぁ……それか? 問題ねぇよ。それ以上寝たら、いつ起きるかわからないからな。ゲーム内では長い方だ」


 相変わらずの変わった俺口調のゲーム節に、ノアンとセレスは苦笑した。


 状況が不明瞭なルグアは、ポカンとした顔で約1分間フリーズすると、立ち上がって部屋の外へ向かう。



 ――ヒュゥー……………………。



 頬を撫でる柔らかな風の歌声。心を洗われる清涼感に浸りながら、少女は歩を進める。


「モルっち、おは〜。もう平気なの? アタイ心配。よーく調べたんだけど、モルっちのゲームアカってめちゃくちゃだよね〜、アハハ」


 ノンノがおふざけ半分で、くすくすと笑っているのが、目に入った。


「うんうん、確かにりんりんのステータスは珍しいくらいに、最強!! 羨ましいよぉ〜、アカ交換できないの超悔しいぃ〜」


 隣で地団駄を踏む藍に、申し訳ないと、頭を下げてうつむき、通り過ぎ、床板のない場所で足を止める。


 無言詠唱の飛行魔法で軽く浮いている状態のまま、ルグアは、船の後方へ移動。


 中の通路を介さずに、大回りで着地すると、ルクスとガイア、レーナにガロン、努、彰、ゼアン、クリム、ルナといった乗員たちが会話中。


 ここは、一旦退こうと背を向けて、黒髪の少女は飛行船の推進力を上昇させると、30分で日本に到着した。


 花を咲かせる仲間を船に残し、自宅へ向かう。村は知らぬ間に街になり、明るい住民の声で賑わっている。


 街の中央にある階段を降りて、地下拠点の家が顔を出し、1人のNPCが手を振って出迎えてくれた。


「ただいま、フェンリル。武器強化の件、また頼むぜ」


「おかえり、ルグアさん。そして、おまかせください!!」

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