第51話 敵勢力の司令官
「これはこれは、久方ぶりです、ほんの数日前ではありますが。モードレ様。敵対者として、お目にかかれて、光栄でございます」
ゼアンは、礼儀正しく挨拶を述べる。私もこの展開は予想できなかった。
「ベディ、いや今は関係ないか。なぜ、外国のメンバーなんだよ!!」
「その理由のことでしょうか? 実は、在住地域がアメリカでして。在住場所の関係で、こちらの司令官になっております」
引っ越し先の地域で、敵味方が判別されるのは、初耳だ。
「この舞台は、広く濁り朽ち果て、開拓するにはもったいない。わたくしは、昔の世界を荒らす人は嫌いなのでございます」
(変な趣味だな。まあいじりたくない気持ちは、わからなくもないが……)
やれやれと首を動かす少女。ゼアンの話は、まだ終わらない。
「聞きましたよ。モードレ様は、味方を避難させたというのを……。こんな状況で仲間割れでもしたのですか? あなたに勝ち目など無いというのに…………」
侮辱するにも程がある。けれども、彼はやめようとしない。
「わたくしも、あなたと同じ特異点でしてね。こういうことが可能なのですよ。〈敗れ眠りし屍よ、今ここに命を宿せ〉!!」
突然の魔法詠唱。さすがに無言とはいかないようだ。地中から痩せ細った人が這い出してくる。
まるで、ゾンビ映画でも観ているのではないか。そのような光景に、足がすくむ。
加えて、現れたゾンビのレベルバーには9000正と、文字数制限なのか漢字で書いてあった。
それがなんと、同じ数分の大衆。地味な絵面の派手な演出で、特異点の意味がわかった、気がした。
では、私の特異点は何なのだろうか。
数値の高いステータス? でも、これはゲームの設定だから違う。
加速攻撃? いや、ルクスも成功している。無言詠唱? これは、藍が実際に使用した。
広い効果範囲? きっと、同じようにできる人もいるに違いない。
怒り狂うのは自分の弱点からだし。
〖何を考えておる!! ルグア殿!! そなたの特異点は、天変地異。全てをひっくり返すのが……〗
「黙れ!! 小賢しい龍め!!」
ゼアンの発狂。VWDLでの彼とは考えられない言葉だ。
少し前の私と同じ。だが、深刻ではあったが、彼女は発狂をしていない。
一時的に盲目状態になったものの、状況の把握はできていた。
(天変地異、やってみるしかない!!)
すると、
〖ルグア殿、こう唱えればいいんじゃ〈輪廻の闇に神々の…………〉〗
(雷を!!)
無言詠唱を行った瞬間、荒野は一面緑に染まり、屍の動きが鈍くなる。
これが、私の特異点。自分にしか使えない魔法。加速を始め、あっという間に1000倍まで速度を上げる。
クリムゾンブレードの威力も増して、レベル無視の100連強攻撃。
ゼアンも、わんこそばの同様おかわりゾンビを繰り出す。
「ルナ!! 他のみんなを安全な場所に!! 100km西に移動してくれ!!」
私とゼアンの戦い。青年は大軍勢を引き連れその場を離れた。




