第3話 観覧車の地下にて ※修正済み
観覧車の下には、小さな祠の穴。中は、薄暗く広い空洞。
2kmほど歩くと、リザードが10体。レベルは4000で、自分が知っているものと違って舌が長く、まるでカメレオンのようだった。
後退し、尻もちをつくルクス。
それを背中合わせで守る、私とグラン。
(ルクスのやつ、怖がりかよ……、レベルと実力が合ってねぇじゃないか)
「グランは雑魚を、私は親玉を倒す」
「了解です」
一斉に、踏み込み私は長剣で、グランは斧を勢いよく振り下ろす。
リザードは次々と倒れ、大量のアイテムをドロップ。ストレージの中は一瞬にして埋まった。
課金するかと、ざっと10万円を投入。あっという間に、500が最大だったストレージは5000まで大きくなる。
「ルグア先輩、よくそんなに課金できますね」
「いつから、お前の先輩になったんだよ」
すかさず、私はツッコミを入れる。
「ついさっきです」
まだ、恐怖が抜けきれていないのか、ふらふらと揺れている。
「一旦休憩するか。私達以外、誰もいないよな」
辺りを見回し様子をうかがうと、
「確かに俺達だけですね」
ルクスが肯定。
「じゃあ、リアルな自己紹介を、まずはグランから」
突然指名されたグランは、コホンと咳き込み、
「櫻井奏といいます。職業は会社員。普段はガイアで遊んでます。次はルクスさんですね」
その言葉に、私は頷く。
「じゃあ、俺は巣籠陸。22歳。大学生です」
「えっ!! 陸兄……」
まさかの出来事。
巣籠陸は6歳年上の兄。栃木から東京へ上京してから、食事の時しか会っていない。
「お2人は、兄妹ということですか?」
「「はい」」
グランの問いに、同時に首を縦に振る私とルクス。
「じゃあ、ルグアの名前は……」
「……巣籠明理。陸の妹」
驚きのあまり、言葉が途切れてしまった。