第45話 彰とガロンのワイドショット
今回は彰です。
どうぞ!!
ボクが矢を射ってる間にガロンがリロード。ガロンが射撃して、彰が矢をセット。
交互に攻撃と用意を繰り返す。けれども、一度に複数撃てる銃に対して、弓矢は基本的に1本しか放つことができない。
増える敵。足りない攻撃回数。
「彰さん、実はわたし、散弾と拡散弾もたくさん持ってきたんです」
散弾と拡散弾? 名前で考えると、広範囲のプレイヤーに当たりそうだ。でも心配なのは、
「あの、それにも限りがあるのでは?」
「その点は、問題無しです。ルグアさんに、少ない材料で大量生産する裏技調合を教わったので、10極まで準備可能です」
10極!? さすがに多すぎる気がする。調合まで詳しい彼女は、どうして強いのか、ボクにはわからなかった。
種族大戦の時は、言葉を失うほどの結果。ルグアさんがただ1人勝利したという現実。
あとで聞いたことだが、参加していたプレイヤーの総数は、日本で生活する人数より多い6垓人いたという。
多分、外国人プレイヤーの応援付きだろうが、レベルの差が大きい。
なのに1人で相手して、最後まで残ったのは、受け入れ難く、もちろん、今でも信じていない。
そして、もう一つ耳を疑ったことは、大戦後に言った言葉の続きだった。
◇◇◇◇◇◇
「もしかして……、勝ったのは……」
努が驚いた表情で言葉を詰まらせる。彼女は、ボクたちに、
「そうみたいだな……」
一言だけ、呟くとこちらを向いた。ほとんどが砂埃で傷がない身体。ボクは、
「ど、どうでしたか? 大戦に参加した精鋭達は…………」
恐る恐る、感想を聞く。でも、ルグアは、真剣な表情を変えることなく、
「普通に雑魚だった。巻き上がる砂埃のおかげで戦いやすかったな。勘が冴えまくりだ」
(は?)
「やつらの攻撃は、正面衝突しても、ほとんどが空振り。砂のせいで前が見えていない」
なぜか始まる分析。
「対して私は、空気の流れと勘で場所がわかる。以上だ」
やっぱり、ルグアさんは人間離れしていた。
◇◇◇◇◇◇
「彰さん、ぼやっとしないで集中してほしいです。今はバトル中ですよ。私の弓を貸すので預かってもらいたいです。ちなみにルグア製です」
ルグア製? 知らぬ間に鍛治まで手を出していたとは、思っていなかった。
ガロンから、弓を受け取る。硬めで戻ろうとする勢いが強い弦。
少し重くしっかりして、縦に複数穴が空いた、不思議な本体。
真ん中と上下。試しに矢をつがえる。今までは、弓の角度で決めていたが、穴がスコープに変わった。
距離を測って射ると、勢いよく飛んだ矢は、的に当たる。数も無制限で減っていない。
――ゲーム内なんだから、ノーマルの形状をした武器以外でも、おかしくない。
どこかで、ルグアさんの声が聞こえた気がした。それはつまり、わざわざ、1本ずつでなくてもいいのでは?
ボクは、3本手に取りつがえて横にすると、解き放つ。3方向に飛んだ矢は、外れることなく敵へ吸い込まれていく。
弾けるポリゴン。今度は、5本。2本ずつ増やしていき、最終的に9本同時で命中させていた。
ワイドショット。広範囲にダメージを与える遠距離攻撃。一掃するには時間を要する。
2人は、諦めることを捨て、装填と射撃を繰り返した。




