第2.5話 計算間違い ※修正済み
(ん? ちょっと待てよ……、1億でレベル1万超え?)
「ルグアさん、どうかしたんですか?」
モヤモヤが晴れない私に、ルクスが問いかける。
「いや、なんでもない。算数とか数学苦手だからさ。ただ、0の数を間違えたかもしれないんだ」
「それ、俺が計算しますよ。ちなみに、どんな式ですか?」
頼りになる少年は、どこから出てきたのだろうか、電卓を表示。
「10万×1万、暗算ができないから、それもあるんだろうな」
学校でも、数学の時間は寝ている時が多かった。
その度に先生に叱られ、周りから起こされ、廊下に立たされては、通る人からいじめられる。
そんな毎日が嫌いではなかった。校長から、強制退学を伝えられるまでは……。
今は、学生でもなんでもない、ただのニート。
金もない仕事もない、一応、審査会社からの報酬は無くはないが、1人暮らし1ヶ月分の額だけだ。
理由は、ほとんど光熱費や通信料に消えていくからである。
「ルグアさん、計算終わりましたよ」
隣のルクスが、私の肩を叩く。
「答えは、何だったんだ?」
そう言うと、少年は電卓をルグアの方に向けた。
「10万×1万=10億。10億です。これで安心ですね」
10億、よく見ると0が9つもある。一、十、百、千、万、ここまでくると次が出てこない。
「あの、ルグアさん、話が変わるのですが、気晴らしに、ダンジョンに行きませんか?」
いい考えだ。
「おう!!」
後ろを見ると、グランもついてきて、3人は観覧車の方へひたすら歩いた