第32話 村への帰還
ストレージいっぱいのアイテムと、巨大なゴブリンが入った筒を獲得した私は、帰路についていた。
もちろん、努から連絡が届いてからの空の旅。1ヶ月はやっぱり早かった。
家も完成し、そのお披露目会に出席。ゴブリンは、スペシャルゲストだ。
北海道が遠くなり、東京が近づいてくる。着陸地点は、もちろん鮮やかな緑の丘。
「おかえりなさい。お待ちしてました!!」
出迎えてくれたのは、努と彰。2人は手振り、私の足が地面に触れるのを待つ。
「ただいま、私の家が建ったんだろ?」
少女は彰に尋ねた。
「はい、案内します」
丘を下り、街中を歩き、地下へ移動。工事中は青い幕だったが、今は赤いカーテンで隠れている。
「では、ルグアさん。引っ張ってください」
彰がそう言うと、努がカーテンの端を待つ。私も反対側を手にすると、同時に外した。
見ると、2階建ての一軒家。中は何もかもが新品で、ゲーム内なのに、優しい木の香りが漂う。
今度はここで生活するのか。嬉しいが扱いが分からない。汚したくない想いで溢れていた。
ゲーム内の新生活。今後の展開が気になり高揚している、ルグアだった。




