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第27話 種族大戦


 ――オオオオオォォォォ…………!!



 テントの外に響く威勢のいい雄叫び。慌てて剣を握り、現場に向かうと、街は砂埃に覆われていた。


 近づく2人のシルエット。駆け寄ってきたのは、努と彰。


「ルグアさん、大変です。種族大戦が……ゴホッゴホッ……、しゅ、種族大戦が始まってしまいました」


(ふぇ?)


 埃を吸ったのだろう、報告する努も隣で息を切らす彰も咳き込んでいる。


「種族大戦というのは、様々な種族。妖精・人・獣人・魔族それぞれの精鋭が繰り広げる戦争です」


 と彰が説明。私は、


「それって、精鋭部隊でなくても参加できるのか?」


 質問した。2人は顔を見合わせ答える。


「不可能ではありませんが、9千億近くのプレイヤーばかりですよ? 最前線に立てるわけ……」


「問題ない。私、別ゲーで仲間はいたが、1京のボスをソロで倒してるからさ。億単位は雑魚同然だ」


 言いかけに遮って宣言したルグア。少年たちは硬直し、そのままフリーズ。


 ラッキーと心の悪魔が騒ぎ、空を飛んで参戦する。住民たちは、地下拠点に避難して誰もいない。


 砂埃が激しくなり、視界が悪いが、勘だけで戦える私には好都合。


 空気中の脈の流れを、研ぎ澄ました感覚で読み取る。


(上空右に50、左に36。ぶつかるのは12。空振りが24。地上後方に5000)


 頭の中に浮かぶ数字。数学が苦手なのは変わらないが、これに関しては結構優秀。


(私に衝突する可能性がある人数は、2000。秒間248人。衝突まで、10、9、8、7…………)


 カウントダウンに合わせて身体を捻り、進化したばかりの魔剣に集中させる。

 そして、


(……5、4、3、2、1。ここだ!!)


 0のタイミングで、解き放つ。



 ――ビュゴォォォォ!!!!



 コンマ1秒の風切り音より大きな轟音。気づかずに走る精鋭達は、ドミノ倒しのように倒れる。


 最初に触れた人だけはなく、2km先のプレイヤーまでポリゴンとなって消えた。


 加速させて、今度は空中戦。同じように切り裂く。この戦争は夕方まで続いた。


 全てが終わり鎮まると、地下に避難していた少年たち。努は、地に足をつき静止する少女に、


「もしかして……、勝ったのは……」


 驚いた表情で言葉を詰まらせる。私は、2人に、


「そうみたいだな……」


 一言だけ、呟いた。


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