第22話 抜け出せなくなったゲーム世界
「努ー!! 大丈夫かー!!」
私は、暗闇の城から5kmほど離れた砂漠地帯で、仲間の身体を揺すっていた。
彼は、私の戦いぶりと、恐怖のどん底から解放されたことで、失神したまま目を覚まさない。
努がログインしたとみられる場所は、大体予想がついていた。
群馬県太田市、細かい住所まではいかないが、もしかしたらと思いログアウトの項目を探す。
だが、ログアウトの文字が見当たらない。その時、頭の中によぎったのは『デスゲーム』。
あるある設定の1つで、ログアウトできなくなると、死と隣り合わせのバトルが始まるというもの。
次に、浮かんだのは、『鳥籠』。または、『ヒューマンバードハウス』。
最初は、広い世界だったのに、日が経つと狭くなっていく。人口密度が原因で、強制退場がオチ。
最後は『エンドレスバトル』。その名の通り、エンディングが終わるまで、延々と闘いが続く。
私の予想は、3つ目。大戦系のゲームに多いと思うし、リスタート機能で死ぬことはない。
安全性の高いゲームは、激しい戦闘でも、プレイヤーは遊び続ける。
「う、うぅぅぅ…………」
失神状態の努が唸った。どうやら、無事回復したようだ。ゆっくり目を開いて、上体を起こし、
「ルグアさん、ここは、砂漠?」
つぶやく。ルグアは、
「ああ。ボス倒してここまで運んだ私に礼を忘れるなよ? と言いたいが、今回はおまけしてやる」
ブレのない口調で、簡単に説明した。もちろん、敵が0というわけではない。
見張って、敵が出現したら攻撃。努へ危害のないように守っていた。
それと、もう1つ。
「ログアウトができなくなった。こっから先も、2人でやっていかないか?」
この質問に彼は、
「喜んで!!」
大きく首を振って頷いた。歩くしか手段のない努を抱き上げ、再びルグアは空を飛ぶ。
次の目的地は、誰も踏み入れたことのない、黄金城。景色は、砂漠からサバンナに変化した。




