第21話 Lv1ルグアの実力
暗い空間、薄紫の壁、赤と金の長い絨毯。2人は、警戒しながら歩く。
時々現れるスケルトン、稀に攻撃してくるゴーレム。努が、自信満々に剣を振り盾で跳ね返す。
最初はよかったが、難易度は上がっていき、少しずつ押され始めるが、努が制して前に立つ。
(なんだ? この感覚……、初めてだ……。危険な気配が……)
私は、最後に残った大部屋に、意識を集中させる。それは、私たちが、向かっている部屋。
階段を登り、扉を開ける。
――ギギギギギィィ……
甲高い、蝶番の軋む音。再び入り口の前に行き、中を見ると、ざっと40体のスケルトン。
真ん中には、明理の身長の50倍はある大きな2体のゴーレムが、待ち構えている。
私の鼓動に混じる、仲間の恐怖の叫び。隣の努は手足を縮めて、ひっくり返った。
(動けるのは私だけ……。クリアしなければ、ダンジョンに閉じ込められる)
私は、魔剣を取り出すと、しまっていた羽根を生やし、ホバリングしてから、群れに突っ込む。
1対42、無謀といえば無謀。だが、ルグアには通用しない。
宙に舞う、スケルトンの骨棍棒40本を左の魔剣で弾き、ついでに近くの敵を攻撃。
平均で5回当たれば、倒せる。それを確認したあと、ルグアの動きは加速していく。
入り口で観戦中の努は、その強さと俊敏さに絶句した。光景を言葉にできないほど、熱量に。
ものの数10分で、スケルトンが全滅。残るは巨大なゴーレム2体だけ。
叩きつけられる大きい岩石を、スレスレで回避すると、すかさず、無防備な関節に刃を入れる。
避けては切りつけの攻防が、大迫力のエフェクトで彩られ、ルグアは、集中力をさらに高めた。
もちろん、加速も止まらない。目で追えない空気の波紋が、うっすら見つけるのが限界だ。
そして、突然ルグアの動きが止まり、実物が出現した。1分後。
ゴーレムの胴体が崩れる。
つまり、自分達が勝利した。努は緊迫感から解放され、眠りにつく。
そんな努を担いで、城に別れを告げる、ルグアだった。




