第15話 白熱する剣舞と咆哮
左手には、レイドボスのドラゴンから受け取った、真紅の剣が輝いていた。
集中力も回復し、高速移動で相手を翻弄。それを追うドラゴンも剣と同じ色の尻尾を振り回す。
避けながら攻撃、攻撃して避ける。戦っているというよりは、遊んでるような感覚。
剣を振り、激しく舞い踊る私と、そのリズムに合わせて避ける、ボス。
もちろん、剣先が触れた時のダメージはしっかり入っていて、20分の間に、10本削った。
クリムゾンブレードの威力は絶大で、かすっただけなのに、HPゲージを1本消す。
敵のHPゲージは残り8本。真紅の炎は勢いを増して、黒炎に変化した。
炎に焼かれ、ドラゴンのHPゲージが次々と消え、ラスト3本。
1京という数字は何だったんだ、とレベル設定の雑さに違和感を覚える。
黒く燃えるクリムゾンブレードは、とても重く集中してもバランスが悪い。
だが、剣が重いからこそ舞いによる遠心力で、一撃を強くさせていた。
Congratulation
クリアタイム 2時間38分54秒
MVP:ルグア
総ダメージ:98,745,000,000,000,000
ギルドポイント:500,000,000,000
「なんじゃこりゃ? 0が…………12? いや他の数字が5つあるから………」
目を凝らし、知ってるところまで計算していると、
〖お見事。では、そなたにお礼を……、と思ったんじゃが、渡せるものがなくてな〗
ドラゴンが、分身の威力に押され、負けるというのを考えてなかったようだ。
〖代わりに、我をそなたらの仲間に入らせてくれんか? ルグア殿のテイムモンスターとして……〗
唐突な展開、プレイヤーが頑張ってテイムするのは、当たり前。
対して、モンスターが希望するのは、知ってるゲームでも数えるくらいしかない。
セレス達の方を見る。2人は首を小刻みで縦に振った。
「わかった、仲間にしてやる」
私は、初回ログイン時に貰えるテイムアイテムを使い、ドラゴンを捕獲する。
名前はすでに決まっていた。
〈クリムゾンドラゴン〉
略して、クリム。ドラゴンも気に入ったようで、テイム後のサイズでケージから飛び出す。
姿はボスと同じで、大きさが小さくなっただけ。その裏で、破滅への歯車が、震え出した。




