第13話 レベル1京の自分探し
――グルワァーウ!!
昨日ぶりに聞く、巨大なドラゴンの咆哮。一つ違うのは、咆哮にダメージ判定があることだった。
――グルル、グルワァーウ!!
ニ回目の咆哮。これも計算の内。実は、作戦会議をしていた。
◇◇◇30分前◇◇◇
「モードレさん、このレベル、主にレベル5000兆から咆哮にダメージ判定があります」
ガロンが右の人差し指をピンと立て、説明する。
「えーと……。5000兆が0が15個で……。1京の0は……」
やはり、こうなる。数学の教科能力パラメータ最悪値0の、計算できない病。
0が並ぶ数字は、見てるだけでも聞くだけでも、頭がクラクラする。
「ルグアさん、1京は16個です」
セレスのフォローで解決。話を進めた。
「その……。まず、ステータスを見てもいいかな?」
ステータス確認は1番重要だ。確認しておけば、有利に戦うこともできるし、立て直しやすい。
3人は同時にステータスを開く
はじめにセレス。
プレイヤー名:セレス(次回変更まであと3日)
レベル:97861
HP:187,6700
攻撃力:986400 防御力:976000
魔法攻撃力:862050
魔法防御力:628700
ユニークスキル
咆哮ダメージ軽減
次に、ガロン。
プレイヤー名:ガロン(次回変更まであと3日)
レベル:60270
HP:787,600
攻撃力:886400 防御力:573200
魔法攻撃力:962300 魔法防御力:673500
2人も、カナユイ同様普通のステータスだった。最後はルグア。
プレイヤー名:ルグア(次回変更まであと3日)
レベル:5786100
HP:987,600,000(ユニークスキル効果:+31500)【初期値:987,568,500】
攻撃力:9864000
防御力:973500
魔法攻撃力:862040
魔法防御力:628140
ユニークスキル
HP強化LvMAX(最大Lv10000)
EXPルーレット必ず大当たり確定
気づかないうちに、私のステータスがエグい、つまり、異常なことになっていた。
「ルグア……さん、も、モンスター級……ですね……」
「……ほへぇ〜、一昨日始めたばかりですよね? わたし達よりレベルが高いのは、ちょっと怖いです」
そう言って2人は、少しずつ私から離れていく。これならと思い、配置を考えると……
◇◇◇現在◇◇◇
「セレスとガロンは、ドラゴンの腹部から脚を攻撃してくれ」
やっと調子を取り出した私に、
「モードレさんは、どうする……。もしかして?!」
ガロンが悟った。
「私はタンカーで、引き付ける」
「ですが、ルグアさんは長剣。盾剣のガロンの方が適任だと思います」
セレスは、気づいていないようなので、
「HPの関係だ、数値が高い方が延長戦に強い」
説明すると、ガロンが
「わたしも、その方が安心して戦えます!!」
賛成の声。
「わかりました。それでいきましょう」
セレスとガロンは、走ってドラゴンの真下へ移動。ヘイトが2人に貯まっていく。
体勢を低く構えるドラゴン。火球のモーションだろう。口元に炎が集まってくる。
腹部まで残り25m、発射まで残り約1分、狙いは前を走るパーティメンバー。
私は、全力疾走で2人を追い抜き、強攻撃で挑発する。
武器も、異常な強さを持っているので、そのまま火球を受け止めた。被ダメ-200000。
隙があれば、間髪入れずに剣を振り、ダメージを受けながらも、防ぎ弾くを繰り返す。
だが、ドラゴンに与えるダメージは、雀の涙。昨日の敵より減るのが遅い。
「全損覚悟で攻めるか……」
1人ドラゴンの前に立ち、ポツリとこぼした自分の声。その言葉は2人に届き、
「無茶はしないでください」
と、ガロンが叫ぶ。
だが、2人のHPは残りわずか、いつ倒れてもおかしくない。
そして、いまだに20本ある敵ゲージは、全て緑で満たされている。
ここは、裏技を使うしかない。私は、攻撃を受けながらも意識を剣に集中させる。
左に持つ剣は、赤いエフェクトを纏い、その状態で駆け出した。




