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第12.5話 自分を見失ったルグア


――『まさか、こんな近くにいたなんてびっくりです。雰囲気のギャップが大きすぎます』



 現実での私、ゲーム内の私。沙耶華の発言に悩まされる自分。


 どうしてこんな差ができたのだろう。真っ先にログインしてフィールドに立つと、モヤモヤ感に襲われた。


 目の前の敵ではない。目に見えない別の何か。


 沙耶華の言葉だけはない。



――『雰囲気も、話し方も、男性そのものだったので、男相手で会話するところでした』



 これはセレス、輝夜の言葉だ。まさか、男とまで言われるとは思ってなかった。


 本当の私は一人しかいない。別の自分は別人だ。モヤモヤが晴れないのが、一番つらい。


「おまたせ、ルグアさん」


 噴水広場に、向かって走るセレスとガロン。それに、どう反応すればいいのか、わからない私。


 軽く首を縦に振り、噴水の水面に身を乗り出す。


 水面に映るのは、あごのラインがはっきりした、男性でも女性でも問題ない整った顔。


 これが、見た目で気づかない理由の一つだろう。少し遠くの初期スタート地点。


 はじめは気づかなかったが、鏡が置かれていた。


 近くまで行くと、スリムでスタイル抜群のアバター。胸は小さく、手足は細くて長い。


 こう見ると、本人も男性と見間違えてしまうくらいだ。


 噴水と鏡、2ヶ所を行き来する私に、ガロンが、


「あの、さっきはあんなこと言って言ってごめんなさい。普段のモードレさんで大丈夫ですよ」


 と、気遣ってくれた。それに続くように、セレスが、


「ガロンの言う通りです。いつもの、かっこいいルグアさんでいいんですよ」


 と、付け足す。でも、やっぱり、心は曇り空、晴れ間は一つも見当たらない。


「アーサーさん、バトルをすればなんとかなると思います。少し前にギルイベも開始されたので……」


 ガロンが、セレスに提案する。


「そうですね。1位取るなら、やっぱりレベル5000兆でしょうか?」


「いえ、モードレさんが、とても強いと聞いたので、1京でも問題ないと思いますよ」


 勝手に、レベルが高くなっていく、もちろん難易度も上がっていく。


「でも、ガロン、1京はギルメンのみんなを集めて挑戦しても、1回もクリアしてないじゃないですか」


 そんなに強い敵なら、ほんとの自分が見つかるかもしれない。

 私は、


「1京の敵と戦ってみてもいいかな? もしかしたら、何かがわかると思う」


 どちらの自分なのかわからない言葉で、3人はギルドイベントのゲートに入った。


 これが、波乱の幕開けと知らぬまま…………。

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