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第2-15話 回避ゲーム

{明理、本当に大丈夫なのか?}


 さっきからルグアが私のことを気にかけてくれている。本当は大丈夫じゃない。でも、ある程度刺激がないと、集中できない。


 目の前が見えないまま、勘だけで道を進む。足元がおぼつかない。それでもなお、移動を続ける。


「ルグア。あと少しで着くと思う」


{ボス部屋ってことか?}


「うん」


 なんとなくわかる。少しゾッとするような空気の(しび)れ具合が……。引きつった風は濃くなっていく。


 ――グルルルルルル……。


 モンスターの声だろうか。威嚇の唸り声が暗闇に響き渡る。声は聞こえるが姿は見えず。

 臨戦態勢をとるが、武器の確認を忘れてしまった。いつ襲って来るかはわからない。

 無意識に身体が左にずれる。同時に右横をなにかが通過。今度は瞬時にしゃがんで敵が頭上を飛び越える。


「思ったより、動きが速い……」


{だな……。オレも明理みたいにできれば。参戦可能なんだが……。見え方が違いすぎるぜ……。全く予想できねぇよ……}


「ルグアが無理に戦う必要ないよ」


{けど、少しはいいだろ?}


 避けてばかりのバトル。いや、これは回避ゲーム。戦いたいと買って出たルグアが交代を希望している。

 最近のルグアはとても生き生きしていて、記憶を失っているようには感じられない。

 私もルクアのために記憶を復活させないといけない。元々の世界を取り戻したい。

 もし、この戦いで記憶が戻るのなら……。


{わかった。敵の場所は私が指示するから。頑張って‼}


「サンキュー。的確にな‼」


{もっちろん‼ 次は後ろから攻撃くる。順番は右、左の前脚二回。ウルフ系だから、回避で敵の後ろに回って‼}


「おう」


 明理と交代したオレは彼女の指示に従い、軽やかなステップでバックを狙う。彼女とは違い周りの様子がわからない。

 彼女がいなければ、満身創痍になっているだろう。オレよりもスキルが多い分知識量も頭の回転も桁違い。

 WWMでは、何度も助けられた。ただ、ゲームで遊ぶ時のこだわりが気になるが……。


{ルグア‼ 正面にいる‼ そのまままっすぐやっても当たるよ‼}


「目の前だな‼」


 握り拳でカーブを描くように殴る。なにかに触れる。ギラりと光る鋭い眼差し。攻撃はヒットした。

 明理の正確さはまだ続き。オレが繰り出した攻撃は、ほとんど外れることがない。

 まだ敵がいる。あらゆるところから聞こえる低い唸り声。指示は明理がしてくれている。オレはそれを実行するだけ。

 間接的な二人三脚の共闘戦。敵は減らない。ボスは別にいる。しかし、オレには察知することができない


「明理。ボスはまだか?」


{それなんだけど、ボスは移動を繰り返しているみたい……。なんだか眠くなってきちゃった}


「寝られたら困る」


{だよね……。300段階くらい負荷の周波数上げとこ}


「脳みそ燃やすなよ」


{大丈夫だよ}


 オレは明理の代わりに、ゲーム機から流れる周波数を上昇させる。刺激はオレには反映されない。明理だけが影響を受ける。

 彼女に苦痛はあるのだろうか? 尋常ではない痛みを受けているのに、体調に異変はない。


{これでしばらく起きていられるかな? 等倍から一気に上げたから、まだ脳が馴れてないけど……。あ、ルグア危ない‼}


「ふぇ?」


 ――グルウォウ‼


 明理の声に続く警鐘(けいしょう)にも似た敵の咆哮。避けることが難しいと判断したオレは、手探りのまま拳を振るう。

 同時になにかを突き飛ばす感触。足元には襲ってきた敵が倒れていた。

久しぶりの更新です。5月30日(私の誕生日)以来かな?

リメイクやるやらないとか、この話から6年後のゲーム小説とか、ヒューマンドラマを書いたりとか、エッセイで狂気化したりとか……。


最近は、「子供令嬢」というハイファンタジーを書いています。

私、ハイファンタジー苦手なんですけどね。

「子供令嬢」は初めて6万文字超えた長編化成功作です(学園ファンタジー難しかった)


URLを貼って置くので、ぜひそちらもブクマ・評価よろしくお願いします。


https://ncode.syosetu.com/n8962he/

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