第2-1話 夢は大きく、自信は最悪
「んーと? この動きは…………」
オレは、サーカス会場を通り過ぎて、行き止まりを左に曲がったところにある、路地裏に来ていた。
噴水広場で見た白熱の空間は、とても綺麗で華麗でかっこよかった。オレも、手首の回転などを真似するが、上手くいかない。
現在、意識を外している状態なので、明理はこの場にいないが、できる範囲の動きをする。
スナップを効かせた細かい動きは、慣れないことだらけて、怪我をしそうになってしまう。
『あ、いたいた。ルグアさんも練習していたんだね。俺も手伝うよ』
真後ろから、ルクスの声が聞こえた。ルクスは、小さなウィンドウに練習動画を表示させて、おぼつかないリズムを刻んでいる。
「ありがとな。ってか、よくわかったな!! もしや…………」
「そのもしやだよ。明理から教えてもらったんだ。おかげですぐ見つかったよ」
「相変わらず仕事速いなぁ〜。んでルクス。そのウィンドウのやつってなんだ?」
オレは、ずっと気になっていた映像を指差して、問いかける。するとルクスはオレの横に並んで、赤いバーを右から左へ。
中で踊るダンサーの動きが、逆再生されたかと思うと、初動から再生された。ルクスも、初動の動きを真似して地面に手をつくと、少しだけ下がって下半身を前に押し出す。
路地裏の幅が狭いからか、壁蹴りという補助を使った回転。少し離れて、オレも同じように、壁を蹴る。
「ルクス。思ったんだが、腕疲れないか?」
「た、確かにそうだね。でも、継続が大事だって、俺の妹が言ってたからさ」
「アハハ。ごもっともだな!! やっぱすげぇや、あいつは」
明理が言ってることは、間違っていない。あいつは、諦めが悪いから努力しか考えていない。まあ、馬鹿な行動がほとんどだが…………。
けれども、〈WWM〉の一件で大勢のプレイヤーを救った。直後、オレは昏睡状態になってしまったが、こうしてやり取りできるのも、全て明理のおかげと言ってもいいくらいだ。
「ルクス。もう一度見てもいいか?」
全身の疲れを癒しながら、ルクスのウィンドウを覗き込む。だんだん要領が掴めてきた。
再び、同じ動きを繰り返す。しかし、手をつく中心の位置を間違え、足首を捻ってしまった。
ゲーム内なので、リアルの身体に影響はないものの、初めて挫折というのを知った。以降、何度やっても上手くいかない。
自信を無くす。思えば、過去にウェンドラと戦った時も同じだった。うっすらと思い出す、パズルピース。それは、色褪せていた。
早く、少しでも多くのことを知りたい。この世界のことも、オレが持つ過去の世界も…………。
「ルグアさん。そろそろ休んだらどうでしょうか? 焦りが強くなってきているので…………」
「そ、そうか? そうだよな。ちょっと休むか……。おーい、明理終わったぞ!!」
{わかった。お兄ちゃんも場所わかったんだね。2人とも、お疲れ様♡}
3人――オレと明理を別と数えて――揃ったので、少しお茶をすることにした。




