番外第2話 地下洞窟にて(WM30年)
「…………あ〜」
――あぁ……。あぁ……。…………。
「おいおい、いくら洞窟だからって、遊ぶなよ……。私より歳上だろ?」
「別にいいじゃないですか!! 男の子のロマンですよ。ロ・マ・ン!! これに電車が走っていたら。もう、最高です!!」
「…………ほんと、やれやれだぜ」
地下拠点を拡張するために、洞窟を視察に来た私と努。空洞はとても広く、トンネルに近い。
整備されていないせいか、至る所がでこぼこだ。私が魔法を使い、整備を一括で終わらせるのもいいが、久しぶりに作業ゲーがやりたくなった。
ツルハシを持って振り下ろす。何度も何度も繰り返す。持ち上げては振り下ろす。持ち上げては振り下ろす。
しばらくすると道ができて、コウモリ型モンスターが立ちはだかるが、私はノールックの無言詠唱で撃退。さらに掘り進める。
◇◇◇2時間後◇◇◇
「この洞窟、一体どこまであんだよ!! デカすぎだろ?」
掘っても掘っても終わらない。洞窟が広すぎる。だんだん、めんどくさくなってきた。
「………………やっほー」
――やっほー……。やっほー……。やっほー……。…………。
「だから、遊んでいねぇで仕事しろ!! さっきから、私一人でやってんだぞ!!」
「魔法でやればいいじゃないですかぁ〜。魔法でぇ〜。おーい…………」
――おーい……。おーい……。おーい……。…………。
「困ったやつだ…………」
私は、努をほったらかしにして、ひたすら作業を続ける。進めば進むほど、洞窟は暗くなっていく。
家を建てるには天井が低いため、どうやら魔法は、嫌でも必要らしい。
あとは、どの魔法を使うか。爆破魔法は、藍が得意としている〈ワイドグレネード〉と〈メテオグレネード〉。
他には、〈ブラストグレネード〉、〈サテライトボム〉がある。〈サテライトボム〉は、時限式の爆弾で、世界大戦の時に藍が使った魔法は、〈メテオグレネード〉。
そして、私が使ったのは、〈ワールドグレネード〉と言って、1つ間違えれば、世界を破壊できるほどの威力がある。
私は、どの魔法も使用可能だが、それぞれ用途が違うため、悩んでいる。
〈ワイドグレネード〉は、広範囲魔法で、工夫次第で整地可能。
〈メテオグレネード〉は、ボーリング…………、掘削ができる。ここで、少しだけずれるが、似た言葉で”ボウリング”がある。
ボウリングは、ボールを投げてピンを倒す競技、ボーリングは、さっき言ったように、掘削という意味で、掘削機は、ボーリングマシンという。では、話を戻そう。
〈ブラストグレネード〉。これは、グレネードというよりは、原子力爆弾に近い。なぜなら、爆発時に猛毒デバフを付与させることができるからだ。
〈サテライトボム〉は、時限爆弾と説明したが、他にも投下指定が可能。
ってことで、私は〈ワイドグレネード〉を使うことにした。
◇◇◇5時間後◇◇◇
「努。終わったぞ!!」
「ありがとうございます。助かりました」
(お前なんもやってねぇだろ!!)
私にとって、お荷物でしかない、努の笑みだった。




