第106話 ウェンドラの新たな要望……
「貴方は、羨ましいです。この場にいる誰よりも…………。下僕ではない真の仲間がいる…………」
「これも全て明理なんだけどな……。あいつのフレンドリーな感覚を、オレも持ってさえいれば、きっとお前に負けることはなかったんじゃないか? ってさ。だんだん、明理と離れたくなくなってきたぜ…………。あぁー。上手くいってくれぇー!!」
この感情はなんなのか。さっきよりも胸が熱い。前にも感じたことがある。明理と一緒にボスモンスターという敵と戦った時だ。
特に、〈クリムゾン・ドラゴン〉との戦い。3回勝負して明理が3勝。オレが勝ち取ったわけではないので、少し違和感があるが…………。
「なるほど…………。では、アタシはここで退くことにします。今回は、貴方の勝ちとしましょう。気が変わりました」
「気が変わったって? 急に………………ん? これは…………」
気付かぬうちに手に握られた1冊のノート。表紙を開くと、ガデルと明理、藍が書いた文字。これはもしや…………。
「明理の勘が無くても、わかったようですね。そう、それは貴方たちが使っていた〈レコード・ノート〉です」
「なぜ? ってかお前っ!! オレを嫌ってたんじゃなかったのかっ!!」
「ええ、その考えは変わっていません。ただ、もっと貴方と………………。明理のことが知りたくなりました……。それだけです」
「そうか……。きっと喜ぶだろうな。あいつも…………。もう時間が無いんだ。ガデル。そしてルクス。あとは頼む!!」
「「はい!!」」
「フォルテさん。急に……明理さんみたいになって……。とてもかっこいいです」
「ちょっ!? ガロン…………。照れるじゃないか…………」
思わずオレは、顔を赤らめそっぽを向いてしまう。でも、いつか言われたかった、「かっこいい」という言葉に、嬉しさで満たされた。
「ありがとな!! オレも、オレができること…………」
{…………。あるよ……。ルグア……。あるよ……。ルグア・レミリス・フォルテ…………。みんなの温かさ。しっかり伝わってるよ……}
「……あか…………り……? もう、大丈夫…………なのか?」
{ううん…………。まだ……全然。魂動が少しずつ…………ゆっくりになって……。ものすごく眠い…………。そろそろ書き加えが終わって…………。10分後に…………こう…………か……が…………。はつ……どう………………、され…………て……。もう…………。意識がつづ……かない…………}
明理の声が消える。フェードアウトしているように、歯切れが悪くなる。
「書き加え終わりました!! ウェンドラさん!! お願いします!!」
「わかりました。ですが、今回限りのサービスですよ」
ノートは、ガデルたちからウェンドラに移動。ノートになにかを書き始めた。同時に胸の奥深くから、氷が解けて、錆が消えていく感覚。
その時、1つの身体に宿った2人は、なにかを悟ったのだった。




