第8話 イベント会場へ
久しぶりにログインしたVWDLの世界は、平日の昼間ということもあり、あまり人がいなかった。
「サーカス会場は……」
人々《プレイヤー》がまばらに歩く、噴水広場を進み目的地を探す。
『ねぇ……、カナ。あの人って、昨日始めたばかりのプレイヤーだよね?』
カフェテラスでくつろぐ女性の、向かいに座る人と話す声が聞こえた。
見たところ、カナという人は長身で、髪を三つ編みにしている。年齢は10代後半くらい。
するとカナは、
『あたしも、あのプレイヤー知ってる。確かLv1でハイクラスMobを一掃したって。実際に観戦したけど……鳥肌が立ったよ』
そう言って、私の方を見る。気になり少しだけテラスに近づくと、
『あとユイ、あのプレイヤーの名前、ルグアだっけ? 最初は違う名前だったみたいだけど』
カナが、先に話題を話し始めた、ユイという女性に語りかける。
『ルグアって。なんとかゲーム警察? っていうので有名な人だよね?』
2人がやり取りをしている間に、テーブルの近くまで来てしまった。
(どうするか……)
考え無しに移動していたので、その場から動くか悩むが、それより先に、
「「あの、ルグアさんですよね?」」
カナとユイの2人から声をかけられた。
私は、絶対に嘘をつかないと決めている。
「そうだが、お前たち。レベルはいくつだ?」
必ずやっていること、その1。レベリングの必要な人を見つけ協力する。
2人は顔を見合わせると、ホロウィンドウを操作してステータスを表示した。
プレイヤー名:カナ(次回変更まであと4日)
レベル:481
HP:36900
攻撃力:6000 防御力:9000(ユニークスキル効果:+5000【初期値:4000】)
魔法攻撃力:8000
魔法防御力:7250
ユニークスキル
杖装備時 魔攻上昇バフ付与
防御力常時強化
プレイヤー名:ユイ(次回変更まであと4日)
レベル:127
HP:10700
攻撃力:5000 防御力:6000
魔法攻撃力:3500
魔法防御力:2400
ユニークスキル
絶対隠蔽LvMAX(最大10000万)
まあ、普通のステータスだった。レベリングの必要性は、本人に任せることにする。
「えーと、カナとユイだったか……。サーカス会場を探しているんだが……」
今は、目的地へ向かうのが先。
「「喜んで!!」」
目の前の2人が口を揃えた。
◇◇◇◇数分後◇◇◇◇
「ここです」
ユイが指差し大きなテントを見つめる。ついた場所は観覧車の裏側で、広場よりも賑わっている。
「ありがとな」
私は、そう言い残しテントへ歩きだしたが、
「フレンド交換してもらってもいいですか?」
とカナ。同じくユイも、
「自分もお願いします」
そう言って、フレンド申請してきた。
今後のことも考えて登録。またいつか会うことを約束し、個人ダンジョンへ移動した。




