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第100話 もう1つの戦い…………

◇◇20分前 ガデルたちは◇◇



「それにしても、このゲームのプレイヤーさん……。こんなにたくさんいたんですね」


「はい…………」


 ガロンが、億以上の敵を眺めながら、途方に暮れていた。人が多すぎて、歩く道が見えない。


「ゼアンさん。皆さんも動きましょう。努さん。この街で一番高いところはどこですか?」


「高いところ……。それなら、ルグアさんが気に入っていた、丘の上がいいと思います。あそこからなら、この街一帯が見えるので……」


「ありがとうございます。ゼアンさん、早速向かいましょう!!」


「道はわかるのですか。わたくしは、あまり詳しくないので、努様に…………」


「安心してください。私を誰だと思ってるんですか? この物語の作者ですよ? ストーリー中に登場した場所は、全部覚えてます!!」


「承知しました。では、準備ができるまで、よろしくお願い致します。皆様、どうかご武運を…………」


 私は、ゼアンと2人で地上に向かう。丘は、街の南部に位置し、大きな大木が目印だ。地上も地下同様、人で溢れていた。


 徒歩が難しいと判断した私とゼアンは、ルグアから教わった飛行魔法の強化版を使い、急いで丘へ移動。


 確かに、この丘は見晴らしがいい。街以外にも、〈アナグリム・ノワール〉の小屋や鉱山、農産物の広大な畑。後ろには、海が輝いている。


 私がこの世界に来る前、ここまで細かく設定はしていなかった。だが、私の知らないところで、私が作ったキャラクターたちが、発展させてくれた。


 最初は小さな村だったが、今見れば立派な街。独立していることから、隅々まで手を加えてくれたのだろう。


「ガデル様。わたくしはいつでも平気ですので……」


「はじめましょう」



――アンデット・ラビリンス…………。



――ステータス・アップグレード!!



 ゼアンの魔法で屍を呼び、私の魔法で個体値を上昇させる。その数は、500万。敵の数には劣っているが、強化で長時間戦闘可能。


 連続詠唱コマンドも使い、数を増やしていく。すると……。



{ガデル、聞こえるかな? 巣籠明理です。今、危険な大魔法を使っています。この魔法が成功すると、明理としての意識は消滅します。私が消滅したあと、ウェンドラはきっと現実世界の標準時間に戻して、アナウンスがかかると思います。そこでなんですけど、標準時間に戻ってから、5時間後にノートを書き換えてください。内容は、お兄ちゃんに伝えているので…………。よろしくお願いします}



 脳内に流れる無言通信魔法。だが、相手はルグアではなく明理。何かがおかしい。さっきから、シナリオに書いていないことしか起きていない。



{ルグアじゃなくて、明理さん? 一体どういうことですか?}

 

{実は、ルグアとしての私は転生者だったんです。今、ウェンドラと戦っています。すみません、そろそろ限界が来たみたいです。私がいない間も、綴って……くれます……よね…………。ごめん……なさい………………}



 もちろん、書くに決まってるじゃない。その言葉を伝える前に、通信魔法が終わってしまった。


 こんなの、嘘でしか思えない。信じたくない。想像も、信頼もできない。私が最初に産んだ、最初に作り出した主人公なのに、失ったら未来が黒に塗りつぶされて、何も書けなくなる。


 でも、明理自身が決めたんだ。継続できるという、希望を残して…………。


 数分後、街全体を純白の光が包み込んでいった。街全体だけではない。日本も外国も、この世界を覆っていく。


 そして、見たもの全てに無音の雷が降り注いだ。

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