第92話 〈クリムゾン・ブレード〉の隠し強化チャート
「おい、クリム。こっち来れるか?」
〖ルグア殿、何か我に用事があるのじゃな〗
「ああ。ま、急用ではないんだけどさ。剣を強化したいんだ」
実は、クリムに最大限界突破段階の上限を開放してもらったものの、その後上がったのは、5万段階ほど。最大値が100万段階で、各1段階限界突破の条件レベルは10万必要。最終的には8000億までレベルが上がる。
けれども、そんな余裕がなかった。そこで、クリムに来てもらったというわけだ。
〖そうか、では我が相手をしてやろう。1人じゃないぞ。アルスも一緒じゃ。一度そなたの武器を初期値に戻す。その状態で我とアルスに攻撃すれば、みるみる上がる。どうじゃ?〗
「クリムとバトルか…………。確かに、VWDLのレイドバトルで戦ってから、交えてねぇもんな。いいぜ」
刹那、クリムを呼び出すために持っていた〈クリムゾン・ブレード〉が、急に軽くなる。レベル1に、戻ったのだ。
やはり、強化によって重くなった武器が軽くなると、持っているという感覚がなくなって、違和感を感じてしまう。
〖クリムさん、ただいま戻りました。件に関しては、すでに存じております。ルグアさん、よろしくお願いします〗
ちょうどよくアルスが到着。"希少変異種"の緑翼竜は、今か今かと身構える。そして私も、持っていないのと同じ剣を、アルスに向かって切りつけた。
すると、少しだけ重くなる。武器ステータスを確認すると、レベル1になっているはずなのに、3万まで跳ね上がっていた。
これは効率がいいかもしれない。間髪入れずに、コンボを重ねる。コンボを重ねて攻撃すると、重量感が増していく。
ステータスに表示される数字も上昇を続けて、自動で限界突破。あっという間に、50万段階レベル4000億になった。
〖ここからは、我の出番じゃな。手加減はせんぞ。本気でかかってくれたまえ〗
クリムの可愛らしい小さなフォルムは、巨大なドラゴンに変化する。私と戦うのは、これが3回目だ。もちろん、手加減という言葉は存在しない。
「相当重くなっても、まだまだこれからだしな。私的には満足してるが、強化しないのももったいない。それに戦いながらのおかげか、重さの変化にも馴れてきた」
〖ほう、それはよかった。では、ルグア殿。始めようではないか〗
「武器の総仕上げをな!!」
激突する鋭爪と真紅の剣。火花を散らす真っ向勝負。アルスは、その戦いぶりに気持ちが高まり、1対1の熱戦に微笑んでいた。




