第6話 真夜中の作業ゲーム ※修正済み
ファミリーファームに戻った、明理と陸。
集合場所は昼間に行った森林の前で、先に到着したのはルグアだった。
(試しにもう一度やってみるか……)
私は心の奥でため息をつくと、手に持つ斧を振る。
すると、斧は手の中から消え、あらぬ方向に飛んでいった。
辺りを見回すと、目に入ったのは別の木に、不自然な形で突き刺さった斧。
高いところにあったが、もともと木登りが得意だったので急いで回収する。
「待たせてごめん」
遅れてやってきたルクスは、走ったのだろう、膝に手をつき謝罪。私は、
「そんなん気にしてねぇよ」
と言いながら、メニューを開きオープンビューに変更。
ルクスも同じように操作する。
私のより先にルクスのステータスが表示された。
プレイヤー名:ルクス
農業ランク:2
木こり:5095 鉱夫:6000
釣り人:-300 設計士:4000
農家:9000
平均的な値がほとんどで、問題点は見当たらない。
が、続くようにステータスを開いた瞬間、周りの空気が氷点下まで下がった。
なぜなら、私のステータスが全て-100000だったのだ。
これには、色素が抜けるくらい青ざめてしまう。
「マジで言ってんの、これ? 何もできねぇじゃん」
そう、あの時一回で切れたのは、意思の強さによる現象。
実際は0%に等しかったのだ。
「これは頑張るしかないね、ルグア。知ってると思うけど、明日、大学があるから落ちるよ」
と言って、ルクスは姿を消した。
「やるしかない……か。そうだよな」
1人残された私は、一言つぶやき作業を再開、斧をひたすら振り続ける。
時刻は20時。集中力が途切れるまで同じ動きを繰り返す。
1本目、ステータスに変化無し。
2本目、同じく変化無し。
4本目、変化無し。8本目、変化無し。
16本目、32本目、64本目、変化無し。
失敗と成功を何度も何度も。
それから、約2時間後。685本目、ついに数字が動く。
100000から98000へ。マイナスというのは変わらないがたったの2千だけでも嬉しい。
この後も、10時間近く木を切り続け、疲れ果てた時には、翌日の午前8時になっていた。
最終的に切ったのは38960本。
スキルポイントは、さらに5500増えて-92500。
徹夜の作業を終え、増えたポイントに喜びたかったが、突然襲いかかる眠気に負けて、ログインしたまま眠りについた。




