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第百七十六話 金の話

「……………………減ったなぁ…………」

「クマ? 」


  オートマータとの激闘で満身創痍となった比奈は、ラルファとツバキが付き添って、ゴーレム内の比奈の部屋で休んでいる。メテオラは砕け散った『エンブレム』を回収に行き、ダンジョンマスターとジンマは被害状況を確認しに行った。


  そして俺は、ゴーレム内のアルジャンの銀世界でアルジャンをモフモフしながら落ち込んでいた。


  え? 何してるのかって? 俺も被害状況の確認です。主に財布の。


  …………アモンの契約金で白金貨百枚を持ってかれたのは良いとして、一回の戦闘で白金貨二十六枚失った。日本円にしたら二千六百万円である。


  金かよ! という思いもあるが、金は大事だ。特に俺や比奈の様に異世界から来た者にとっては。金しか頼りにならんとは、定住先の無いよそ者の辛いところだ。まあ、基本的にはゴーレムに住むんだけど。


  しかし、金を稼ぐ方法も考えないといけないな。アモン強いし。


  今のところ、爵位で貰える年金とミスリルの知的財産権によって入る金はある。しかしどのくらい入るのか良く分からんし、アモンの一戦闘でぶっ飛ぶよな?


「…………毎回出せるなら、もうアモンだけで良い位なのになぁ。無理があるよなぁ」

「クーマー」


  と、俺がアルジャンをモフモフしながらため息をついていると、アルジャンが銀に変えた笹の葉をくれた。


「くれるのか? ありがとう、アルジャン」

「クマ! 」

「…………まあ、あれだな。金は貯めるとして、基本的にアモンは使わない事にしよう。いざという時の切り札だ」

「クーマ! 」


  アルジャンに貰った銀の笹の葉。流石にこれを売る気にはなれないから、これは大切に取っておこう。


「こんな所に居たんですか、隼人さん」

「おお、メテオラ。どうだった? 」

「はい、やはり修復されていましたよ。あの三つの『エンブレム』は、今は僕の中です」

「…………大丈夫なのか? お前は」

「はい。まだ大丈夫です。ただ、オートマータが持っていた三つに、僕の持っていた内の一つがくっついて一塊になりました」

「『エンブレム』四つの塊か。本当に大丈夫なのか? オートマータは三つで狂ったんだろ? 」

「僕は『時空間破壊龍』ですよ? このくらいなら抑え込めます。…………ただ、『エンブレム』が一つのモノに比べると、十倍以上の力がありますね、四つでこれだと全部集まった時にどうなるのか…………、下手をしたら元の僕よりも強くなるかも知れません」


  いやいや、『時空間破壊龍』なんてトンデモ存在より強いってどんだけだよ。


  …………ただなぁ、これってゲームとかだと全部集めるとラスボスが出て来るってパターンだよな。しかもその際にラスボスになるのはメテオラだ。


  やはり、どうにかしてメテオラの中から『エンブレム』を取り出さなきゃいけないな。


「まあとにかく、今はオートマータを倒せた事を喜ぶか。これで折り返しだな、残る魔王は六人だ」

「はい。…………そうだ、ダンジョンマスターさんが隼人さんと話したいと言ってましたよ、食堂で待つそうです」

「そっか、じゃ行ってみよう。…………またな、アルジャン」

「クマ! 」


  アルジャンを最後にひとモフして、俺はメテオラと共に食堂へ向かった。食堂に居たのはダンジョンマスターとジンマの二人だった。


『おう来たか。取り敢えず茶だ。オートマータとの戦い、お疲れさん』

「ああ、ありがとう」


  おそらくシルキーが用意していったであろうティーセットから、ジンマがお茶を淹れてくれた。


  流石に温くなっていたが、俺は気にせず飲んで、ダンジョンマスターに向き合った。


「それで、何か俺に話があるんですよね? 」

『ええ。ハヤトには話さなくてはいけない事と、いくつかのお願いがあります』

『まあ母者、まずは簡単な所から行きましょうや。お願いの一つは簡単だ。ワシとツバキにアルジャンを、このままゴーレムに住まわせてくれ』

「…………そりゃ俺達は歓迎するけど、ダンジョンマスターはそれでいいんですか? 結構荒らされましたよね? このダンジョン」

『それはそうですが、元々人の来ないダンジョンですからね。私一人でも大丈夫です。それにハヤトについて行かせれば、この子達に外の世界を知って貰えるし、その情報は私にも届くので私にとっても良い事なのですよ』

「…………それなら喜んで。さっきも言いましたが、俺達としては大歓迎です。ジンマもツバキも強いし、アルジャンはモフモフだし、断る理由がありません」

『クックッ、アルジャンは確かにモフモフだな。…………では世話になる! ワシらはダンジョンの外にも出られるから、好きに使ってくれ』

『オートマータの事と、この子達の事がありますので、ハヤト達にはお礼としてダンジョン内の宝を差し上げましょう。結構な量がありますが、このゴーレムがあれば大丈夫でしょう』

「え!? マジで!? それは助かる!! 」

「隼人さん! 『宝物庫』! 『宝物庫』つくりましょう!! 」


  ダンジョンマスターの話を聞いて、俺よりもメテオラのテンションが上がった。…………そう言えば、『宝物』大好きだったな、コイツ。

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