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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大掃除

作者: 星野


  今日はみんなで大掃除


 私は今家から遠く離れた隣町のスーパーに買い物に来ていた。何も今日、突然祖母の家を家族みんなで掃除することが決まったからだ。掃除と言ってもただの掃除ではない、大掃除だ。玄関からお風呂場、寝室にいたるまで隅から隅まで掃除する。そもそも大掃除なら去年の年末にすでにやったのに、何故2月の寒い平日にやらなければならなくなったのかというと、とても人様に説明できないトラブルに見舞われたからだ。

 スーパーに入るとまずは掃除に不可欠な洗剤のコーナーに向かった。安くて大量に入っているヤツと漂白剤、あとはそれらを扱う際に手が荒れてしまうのを防ぐための使い捨てのゴム手袋と大きなゴミ袋を数枚カゴに入れる。


  (あとは…フローリングと玄関とキッチンを掃除しなきゃいけないから……)


 考え事をしながら洗剤コーナーから離れてしばらく薬品コーナーとの間を行き来したが、他に必要なものが思い浮かばない。わざわざ遠くのスーパーまで自転車を走らせて来たのだから必要なものはすべて購入しておきたいのだが、すぐには思い付かなかった。後から買い足すことになってしまうと作業に時間がかかってしまう。こんな事なら先に考えてメモしておくべきだった。

 そうしてダラダラとスーパーをウロついていると、新しい便利グッツの並べられている大きな陳列棚に目が止まった。棚の端っこの方に「これで安心!」と書かれた靴を覆うために使うカバーのような商品があったからだ。おそらく外出時に靴を汚さない為だろう。使うかどうかは分からないが丁度いい。私はその靴カバーと、ついでに必要になるかもしれない爪切りを買ってそのスーパーを後にした。

  



─────玄関



 祖母の家に帰り着いた時、あたりはすでにオレンジ色になっていた。祖母から叔父が、叔父から母が連絡を受けたときは午前中だったのに。

 玄関のドアを開ける前にふと庭を見る。祖母がこの家をこっそり貯めた貯金で買ったときはみんな驚いていた。それから2年、手入れの行き届いた庭にはいろんな野菜や花が植えられている。この景色もこの庭を作った祖母の努力も全て消えてしまうと思うと少し悲しくなった。

 家の中に入ると外と変わらず空気が冷たい。家の中でも肌着を羽織ってないと風邪をひいてしまいそうだ。私は靴は脱がずに玄関に腰掛け、先ほど買った靴につけるビニール製のカバーを買い物袋から取り出し靴につけた。そういえば他のみんなは何もつけずスリッパのままだ。そういう私も買い物に出かける前はこの家をそれで既に歩き回っている。スリッパには目に見えない汚れが付着しているだろう。なんにせよ何も履き物をつけずにいるよりずっとマシだ。スリッパは後で処分するとして、肝心なのは祖父がどこを歩いたか(、、、、、、、、、、)だ。

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