1/2
甘くないこと
ミケは料理が苦手である。
料理が楽になる技も、ベーシックなやり方が身についていないのでそれが楽なのかもわからない。
狭いキッチンにあまり台所道具はない。
クッキーが食べたいけどバターがないのでオリーブ油がいい、と思い立ち、オリーブ油を入れる時。
瓶から一気にどばっと入れてしまい、明らかに終了してしまっている時。
キッチンペーパーで包んでチンした豆腐に、ヒビが入って全然水が抜けてない時。
レンジから出した豆腐が熱すぎて取り落とした時。
砕け散る熱々の充填豆腐は、ミケに苦手意識を植え付けるのに十分だった。