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お出掛け・第1編

「たっだいまー。」


 今日は日曜日。快晴である。

 新聞配達のバイトも終わり、現在6時半。我が家へ帰ってきた。

 玄関をくぐると、奥からカチャカチャと食器の音が聞こえてくる。


「あっお兄ちゃん、お帰りー。もう直ぐ朝ごはんできるよー。」

「あいよー。」


 真優まひろは俺が帰ってくるタイミングが分かるのかね。大きくズレはしないけど、多少なり帰る時間が前後することは珍しくないんだけどなぁ。いつも出来たての朝ごはんが待たずに食べることができるのは不思議である。


「「いただきます。」」


 今日も今日とて真優の作った朝飯は絶品である。誰に習ったらこんなに上手くなれるんだ?それに、毎日ではないが朝ごはんに焼き魚が割と出るんだが……。朝からよく作ろうと思えるな。いや、すごく嬉しいんだけどさ、大変じゃないのかね。主に後片付け。

 昔俺が朝飯作ってたときなんかより格段に良いものを食べることができている。炒め物ばっかの俺とは全然違うな。すごくありがたい。

 ただ、やっぱり毎朝毎朝大変なのではないかと心配になってしまう兄心なのである。


「なあ、前にも少し言ったと思うけど、土日くらい朝はゆっくりしてても良いんだぞ?流石に7日間ぶっ通しで朝飯作るのとか辛いだろ。」

「はぁ……。前にもたっぷり言ったと思うけど、私がやりたいからやってるの。それに7日間ぶっ通しで2時起きの人にそんなこと言われたくないよ。」

「いや、な?俺が辛くないことが真優が辛くない理由にはならないんだよ。それにお前だって4:00起きなんだぞ?そんじゃそこらの一般人なんかよりは、早起きなはずだ。お兄ちゃん的には心配になっちゃうぞ?」

「まあ、その気持ちは嬉しいけどね。ほんとに平気だから。心配いらないよ。」

「……そうか。」


 うーむ……。まだまだ心配だけど、今は真優を信じるか。これ以上言うと鬱陶しがられるかもしれないしな。

 鬱陶しがられた末に嫌われて、娘に臭いだの同じ洗濯機で一緒に洗わないでだの言われて傷ついていく父親が、少なくない数存在するという噂を何度か耳にしたことがある。そのようには絶対なりたくない。真優にそんなこと言われたら、多分立ち直れないと思う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 朝食を食べ終わり、しばらくのんびりして過ごす。そして今は8時過ぎたくらいだ。


「んじゃあ、そろそろ行くか。」

「うん!それで今日はどこに行くの?」

「まあ、行ってからのお楽しみだな。」


 まあ、道のりですぐわかるだろう。

 俺たちは戸締まりを確認して家を出る。


「んじゃあまず駅行くか。」

「駅?千葉に行くの?」

「まあ経由はするが……。駅イコール千葉とは限らんだろ……。」


 確かに、生まれも育ちも千葉県千葉市の俺たち千葉兄妹が駅に行くと言えば、千葉が多いな。ほんと千葉多いな。

 最寄駅が京葉線だったら、ネズミの国or海とか葛西臨海公園とかも候補に上がるだろうけど、俺たちの最寄駅は稲毛駅だ。つまり総武線である。

 そんなたわいない話をしながら、たらたらと30分ほど歩いて稲毛駅に到着。そして千葉行きの電車に10分ほど揺られて千葉駅に到着である。

 電車を降りて改札を出て、近くにあるエスカレーターを上る。


「なるほど、モノレールね。お兄ちゃんが行く場所分かっちゃったよ。」

「まあモノレール乗る機会なんてほぼ無かったからな。」


 それどころか電車に乗るのも久しぶりだったな。もっと言えば遊びに行くのも久しぶりである。


「ほんとだねぇ。小学校の遠足で乗ったきりかもしれない。」

「あー確かにな。あの時は楽しかったの覚えてるわ。ホームに車両が入るときのなんとも言えない近未来感に感動してたわ。」

「さすが男の子って感じだね。私はずっと、落ちるんじゃないかってドキドキしてたもん。」


 ここのモノレールは懸垂式だからな。確かに落ちそうってのもあるけど、電車と違って街中を横切って進んでる感じがして乗ってて楽しいんだよなぁ。

 モノレールに揺られること、これまた10分と少し。目的地である動物公園駅に到着である。

 千葉市にある動物公園。昔、一躍有名になった立つレッサーパンダがいる場所だ。

 動物公園に向かって歩いていると真優が疑問を口にしてきた。


「にしても、なんで動物公園だったの?」

「お前、動物好きだったろ。気分転換には良いかなぁと思ってな。嫌だったか?」

「全然。むしろ私は嬉しいんだけど、お兄ちゃんのほうが見るものないんじゃない?」

「いや、俺も最近来てみたくなってな。つい最近ライオンが搬入されたって聞いたからな。」

「うそ……ここに……?」


 確かに俺も驚いたよ。ここって大型肉食獣って枠の動物が一切いなかったからな。そんなところにライオンが来たってなったらワクワクする。

 5分程歩いて動物公園に到着した。入場チケットを買い、中に入りしばらく歩くとキーキーキャーキャーと喧しい声が聞こえてくる。


「猿だぁ。」

「猿だなぁ。」


 こちら猿を見た感想である。猿を見た感想なんてこんなもんだよね?あ、あの猿俺と目合った瞬間威嚇してきたぞ。酷くね?


「よし、次!」

「お、おう……。」


 あれ?真優ちゃん?猿ゾーン全部回ってないよ?もしかして猿興味無い?ワオキツネザルとか可愛いよ?

 俺たちは猿ゾーンを抜けて右のほうに入っていく。

 すると、机や椅子がたくさん並び、小さな売店がある広場に出た。


「あ、この広場あれじゃね?夏になると水が沸くところ。」

「そうそう!ちっちゃい子たちがよく遊んでるよね!あとあれだ、小学校の遠足の時!」

「あー!食ったわ!ここでレジャーシート敷いて昼飯食ったわ!」


 懐かしいな。小3の頃だったからよく覚えてないけど、確かにここで昼飯食べた……食べたっけ?


「おっ!鳥ゾーンだ!」

「うっわ、かっけえな……。」


 広場を抜けると鳥類が展示されている場所に出た。

 いや、タカとかハヤブサとかの猛禽類って俺好きなんだよね!空のハンターってかっこいいよね!


「よし!次!」

「……え!?ちょ、まっ……。」


 真優ちゃんちょっと早い!ここも全部見ないで行っちゃうの!?せめてこの子の写真撮らせて!お兄ちゃん左手使えないから時間かかるの!あっ、少しで良いのでこっち向いてもらえますかねハヤブサさん!るーるるる!よし!撮れた!さて、真優はどこまで行った!?おっ見つけた!


「ふぅ。真優早い……。もう少しゆっくりでも……真優?」

「………………。」


 真優は思ってたより近くに、というかまだ鳥ゾーンにいたんだけど、今度は檻の前で微動だにしなくなっちゃったよ。オンオフ激しいな!

 何を見てるのかと檻の方に目を向けると……。


「ハシビロコウかよ……。」


 それにしてもお互い熱い視線を交わし合っているというか、すごい剣幕で睨み合っているというか……。なんなんだろう。目を逸らしたら負けなの?というかハシビロコウが動いてくれないと真優動かないんじゃ無いの?

 ……………………。

 10分経ちましたよ!?なんでどっちも動かないの!?壊れちゃったの!?真優も「動かない鳥」に動かない勝負挑んじゃだめだろ……。

 …………………………………………。

 真優さん……、20分経ちました……。そろそろ再起動して頂けると……。

 そういえばハシビロコウのコウってコウノトリの事なんだな。こいつにだけは絶対赤ちゃんは運ばせたくねぇなぁ。運んでから届くまでに赤ちゃん時期が終わってるまである。

 まだかなぁ真優ちゃん。そういえば今日はやたらテンション高いなぁ。動物は好きでも、普段見たり触ったりできないからね。楽しんでるみたいでよかった。

 ……で、まだかね真優君……。

 

小生ココ何年も動物公園に行ってません。うろ覚えほども残ってない記憶から引っ張り出してきてます。それにしても、ライオンは見に行きたいです。

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