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「たっだいまー。」

「あ、おかえりー。朝ごはんもう直ぐできるよ。」

「あいよー、制服に着替えてくるわ。」


 父さんが死んでから約1ヶ月が過ぎた。

葬式やら事後処理やらなんやらで色々慌ただしかったが、ようやく今の生活に慣れてこれたと思う。


「「いただきます。」」

「美味いなぁ。もう真優まひろには料理じゃ敵わないな。」

「フフッ、ありがと。でもまだお兄ちゃんには敵わないよ。」

「そんなことないだろ。……ごめんな、受験生なのに朝早くから飯作らせちゃって。」

「まったく……。そんなこと言ったら私の立場が無くなっちゃうよ。お兄ちゃんのお陰でご飯食べられてるんだからさ……。」


 父さんが死んでから起きた最初の問題は俺たち兄妹の処遇である。

 最初は親戚の家に住まわせてもらうという案も出たが、親戚一同県外に住んでいるため、真優のことを考えると今の時期に転校なんてさせたくないので、住み慣れた我が家で二人暮らしの生活をしている。

 そして次の問題はやはり金銭面だった。

最初は俺が高校を退学して全時間で働こうかとも思ったが、父さんが遺してくれた貯金を見てビックリ。俺と真優が高校を卒業できるくらいの額は貯まっていたのだ。

 うちの家庭は決して裕福ではなかったのにも関わらず、父さんは俺たちのために頑張ってくれていたのだと思うと少し嬉しかったり悲しかったり。

 だから俺は、中卒で仕事を探すより高卒で探したほうが幅が広がると思い高校には通い続けているわけで。

 でも逆に言えば、父さんが遺してくれた貯金だけでは高校の費用しか賄うことができず、生活費までは賄いきれない。

 一応親戚の方々から仕送りを頂いてはいるが、微々たるものだ。それにあまり頼りすぎるのも良くない気がする。

 そこで俺は、朝学校に行く前に新聞配達と、学校が終わってからの18時から24時まで、工事現場でバイトをしている。

 因みに学校側には、工事現場でのバイトの終了時間は誤魔化してたりするのでバレるとヤバい。


「……ねぇお兄ちゃん。」

「ん?」

「無理、しないでね?」

「どうした急に。無理なんてしてないぞ?」

「目の下のクマ、酷くなってるよ?ゾンビの数倍は酷いよ。」

「ゾンビより酷いって……。それ俺の眼球無くねぇか?」

「……だからその、さ。もう私にはお兄ちゃんしか居ないんだから、さ。無理……しないで。」

「はぁ……。心配すんな。お前を置いて逝ったりなんかしねぇから。」

「……うん。」


 真優にここまで心配をかけていたのかと罪悪感を覚えるのと同時に少し嬉しくもある。

やっぱり自分を想ってくれる人が側にいるというのは嬉しいもんだ。

 真優のためにももっと頑張らなきゃな。






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