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お出掛け・第3編

遅くなりました。以後も不定期亀更新になりそうです。

 俺たちは、写真を撮ってくれたお父さんとその家族にお礼をして、次のゾーンへ向かう。

 ちなみに、俺と真優まひろとライオンのスリーショット写真は無事俺のスマホの待ち受けにすることができた。

 時間があるときにショッピングモールに行ったりってのはちょいちょいあるけど、動物園とか遊園地みたいなところに真優と遊びに来るのはかなり久しぶりな気がするからな。貴重な家族写真だ。ライオンは家族じゃねえけどな。


「あっ!クウタ君だ!まだ生きてたんだね。」

「確かにな。あれから何年も経ってるけど、レッサーパンダてのは割と長生きなんだな。」


 ここは例の立つレッサーパンダ、クウタくんのいるレッサーパンダ展示の場所だ。モフモフしてて可愛い。モフりたい。


「立つかなぁ。」

「さあな。ただレッサーパンダが二足で立つこと自体は別に珍しいことじゃ無いみたいだけどな。」

「え、そうなの?じゃあ立つことだけで話題にしてたあの時、スゴい恥ずかしいじゃん。」

「いや、聞いた話だけど、クウタくんの立ち方は直立だったから騒がれたとかなんとか。」


 考えてみれば犬もゾウも二足で立とうと思えば立てるもんなぁ。骨格的にレッサーパンダがクウタくんみたいに直立して立てるのが珍しいって聞いたことはあるけど、その辺はよく分からないなぁ。


「立たないね。」

「そだなぁ。」

「次行く?」

「だなぁ。」


 結局、クウタくんもその子供たちも立ってくれなかった。まあ、立ったからってそこまで感動も無いだろうけど。

 その後俺たちはカワウソやらビーバーやらを見て……何ゾーンだここ……クウタゾーン(仮)を後にする。

 そして俺は次のゾーンへ行く道ではなく、さっき通った広場の方に続く道に入る。


「あれ?お兄ちゃん、こっち広場のほうだよ?」

「そろそろ昼だしな、レストラン行こうぜ?」

「確かにお腹減ったけど……。」


 ありゃ、売店で買い食いの方が良かったかな?


「その……買うと高いし……。」

「あぁ……。」


 そんなこと気にしてるのかコイツは……。俺くらいにはもうちょい気兼ねしないで欲しいんだけどな。


「ったく。今日くらいそんなこと気にすんな。行くぞ。」

「うわっ!?」


 俺は真優の手を掴んで無理矢理引っ張って行く。こうでもしないと昼飯が抜きになってしまうかもしれん。

 真優を引っ張って店内に入り、メニューを見る。


「えっと……なんでも良いの?」

「はぁ……。あんま遠慮しないでくれ。値段も気にせんで良いから好きなもん買ってくれ。」

「うん……。」


 全く……なんて良い子に育っちゃったんだよ……。俺には勿体無さすぎるな。ただ父さん、もうちょっと我儘に育てても良かったんじゃないですかね。


「ウームムムムム……。」

「決まらないのか?」

「うーん……。お兄ちゃんが作る以上のメニューがあるのかなぁと思ってね。」

「んなの適当に選べば当たるだろ。ここにあるメニューは全部が俺以上真優以下だ。」

「断言しちゃうんだ……。流石にシスコン酷いんじゃないの……。」

「少なくとも俺がお前を嫌うわけないだろ。」

「うっ、そんな率直に言われると恥かしいよ……。」


 少なくともこんな良い子《妹》を嫌う兄なんていない。そんな奴がいたとしたらそいつはもう人間じゃない。


「迷ってるならあんま家で出さないようなもん頼めば?揚げ物とか麺類とか。」

「そうだなぁ、それじゃあ私カツ丼にしよ!」

「おう、んじゃ俺はかき揚げうどんでも食うかな。」


 食べたい物も決まったので、それぞれ買って空いてる席に着く。


「「いただきます。」」


 とりあえず初めはツユをすすってみる。うん、あっさりしてて美味しいな。出汁はカツオかな?

 んじゃお次は麺だな。ズズッと。……うーん、不味くはないんだけどもうちょい硬めの方が好きなんだよなぁ。

 乗ってるかき揚げは……。ん?何か今一瞬だけ視線を感じたような……。

 ん!?真優のカツ丼が消えた……?いや、食べ終わってんのか。速すぎだろ……。


「なんかもう1つ食うか?」

「え?いやいやいや!いい!いらない!十分!お腹いっぱい!」

「ほんとかよ……それにしては食べんの速くね?」

「ほんとに大丈夫だよ。早食いと大食いは別物だからね。」


 にしても速すぎてビックリしたな。家じゃもうちょっと遅かった気がするけど、カツ丼そんなに美味しかったのかね。

 このまま俺が食べ終わるまで真優を待たせるのもアレなので、俺は財布から金を出して真優に差し出す。


「ほれ、これであそこのソフトクリームでも買ってこい。」

「え、いやいいよそんな……。」

「遠慮なんかしなくていいから、女の子は甘いもの別腹なんだろ?俺が食べ終わるまでの繋ぎだ。」

「うーそこまで言うならお言葉に甘えて……。」


 真優はそう言って俺から金を受け取り、ソフトクリームを買いに行った。

 俺も急いでうどん食べなきゃな。カツ丼をあの速さで食べるってことはソフトクリームなんて下手したら一口で終わるかもしれん。

 俺が食べ終わるまでの繋ぎとは言ったがソフトクリームが何処まで真優をくい止めておけるか心配だ。さっさと食べよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺たちはレストランを出て、さっき逸れたコースに戻り、続きのゾーンに向かう。

 因みに真優は俺がうどん食べ終わるまでにソフトクリームを食べ終わってた。

 分からない……いつ食べたのかがわからない……。あの時うどんをすする前、真優をチラッと見たときは確かにコーンは丸々1つ残ってたはずだ……。なのにすすり終わったら跡形もなくコーンが消えていた……。謎だ……。いつ食べた……。

 真優の早食いに頭を悩ませていると、次のゾーンに着いた。


「おー、懐かしいなここ。というよりこの門。」

「だねぇ、お兄ちゃんも昔はここ好きだったの?」

「まあな。」


 ここは子供動物園と名の付く、ふれあい広場みたいなところだ。

 ここに入る時に通る木で出来た門が、昔映画で観たジュラ紀の恐竜がいる公園の門に見えて興奮したものである。

 実際中に入ってみればネズミとかヤギとか牛位しかいない。


「ほわぁ……懐かしいねぇ。お兄ちゃん、ヤギ触っってきて良い?」

「おう、行ってこい。」


 ここでは広めの柵の中でヤギやヒツジが放し飼いになっていて、柵の中に入って触ることができる。

 俺も柵の中に入ると、ヒツジをモフッてる真優が見えた。楽しそうで何よりだ。


「この看板まだあったのか。」


 思わず声に出してしまったのは、柵内の端の方に「やってみよう うんこそうじ」と大きく書かれた看板と、箒と塵取りがかかっているのを見たからだ。

 昔は我先にとあの箒と塵取りを手に入れようとしてた気がする。小さい子は普段出来ないような体験はしてみたくなってしまうものだと思う。

 その心理を利用して、動物園の職員は仕事の負担を軽減しているのだろう。

 そんな意図が本当にあるかは知らないが、こういうものを最初に考え、実行した人は本当にすごいと思う。

 そんなことを考えながらヤギの角をニギニギしていると、満足気な顔をした真優が近づいてくる。


「モフりきったよお兄ちゃん!」

「おう、んじゃあ次行くか?」

「うん!」


 ヤギヒツジ触れ合い広場を出て、もう少しだけ子ども動物園の中を散策した。

 ハツカネズミに触れるようなところもあったが、流石に小さい子が多かったため、真優も入るのは断念していた。

 他にも、牛やペンギン、ロバなどを間近で見ることができ、中々に楽しめた。

 一通り回ったところで、子ども動物園内の飼育センターと呼ばれるロッジのような建物の横にある手洗い場で手を洗い、子ども動物園を後にする。


「確か、次が最後か?」

「動物公園はねぇ。でも遊園地の方があったと思うよ?」

「そうだな、そっちの方も見てみなきゃな。」


 んじゃあ次は科学館か。昔は動物公園で一番ここが好きだったからな。少し楽しみだ。

 

3部でお出掛け編終わらせる予定でしたが、終わりませんでした。

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