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木曜日

木曜日

 やっと森を出られたが、こまったことに海がどちらか、よく分からなくなった。

山の木ぎをつたい、木のしるをすって気をもちなおしたが、だんだんしんぱいになる。ここはもう、見ず知らずのせかいなのだ。

とびつづけていると、きゅうにあたりがひらけ、目の前に大きな水たまりが見えてきた。       

あれは海だろうか? ・・・いや、こんなに近いはずはない。

水は、みどりににごっていた。みなもには、アメンボたちがリズムをきざむように、すいすいおよいでいる。ときおり、小魚たちのむれがあそび、ウロコがキラリと光って見えた。 

ここは大きな池だったのだ。セミは、しばらく見とれてしまった。風がふくたびに、さざなみがおこり、ひの光がきらきらとした。アシのはが、ざわめく。きのう、ふりつづけた雨で、小さなせかいも、うるおったようだ。

セミは、とべない妹に、このすばらしい風けいを見せてやりたくなった。生まれた森にもどって、せめて話だけでもしてやりたいと、少し思った。

夕がたになり、水が赤い光にそまると、よりいっそう、池はうつくしさをましたようだ。カメが首だけを出して、ゆっくりおよいでいる。すべてのものが、うつくしくかんじられ、出会った生きものは、見たこともないおもしろい、れんちゅうばかりであった。

ゆたかな風けいであったが、まんぞくはしなかった。むしろ、より大きな海へのあこがれが強まったのかもしれない。

ここにいる生きものは、海のことを知っているのだろうか。みんなにとって、この池は、たりないものなど何もなく、どこよりもすばらしくかんじられる天国なのかもしれない。

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