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最終話

どのぐらい時間が過ぎただろうか?

いや、実際はそこまで経っていないかもしれないが。

僕は名残惜しげなキミから離れると、鞄からプリントを取り出した。

少し不満げに僕の方を見ながらキミは渡されたプリントを一瞥し、そのままくしゃりと丸めてポンと部屋の端へ放った。


「……」


……


一旦落ち着いてしまうと、自分がやったことが頭の中でぐるぐる回りだす。

他人の家に押し入って、その家にいた人を押し倒して……字面だけ見れば、完全に犯罪者。


「……もう一度、いいかな」


……ん


水を差された事を攻める様に、今度はキミの方から腕を絡め、そのままお返しとばかりに僕の耳を噛む。

ゾクリと背中が震えて、その振動がそのままキミに伝わり


「たまにはキミがやられてみるのもいいんじゃないかい……?ふふ」


そう、耳元で囁かれてまたブルリと体が震えた。

さっきので不意を付いたと思ったが、まだまだキミの方が上手らしい。


あのプリントの日から数日過ぎたが、相変わらず学校での僕らに大きな変わりはなく、変わった事と言えば……キミが教室で僕の隣にいる事だろうか。

何故保健室通いをしていたのか、それは結局分からずじまいだったが


(……別に知る必要もないことか)


と僕は気にしないことにした。


「なんだか新鮮な気分だね」


キミが僕に向けて、微笑みかける。

みんなが見ている前だと少し気恥ずかしい。


「大丈夫、意外と他人の事なんて気にしてないものさ」


キミの顔が近づいて、僕の頬に軽く口付けた。

ぱくぱくと魚のように口を動かす僕を尻目に、キミは席へと戻って行く。


……性格、変わった?


誰に言うでもなく、僕は小さく呟く。

いや、元からこうだったのかもしれない。

こういうことが出来る相手を、探していたのだろうか?



「……っふ、う」


……ふぅ


今日も校舎裏で、僕らは行為を重ねる。

大分頻度は減ったものの、未だに続けてしまっている理由は一つ。

受け入れられたはずなのに、こうして握りしめていないとどこか遠くへ行ってしまう気がして。


「……離さないでね」


キミが少し不安そうに僕を見て、そう言ったあの日。

僕は絶対にキミを離さないと決めた。

だから僕はもう、普通でなくていい。

SS速報で書いたものを、小さい部分を手直しして再投稿

一度書いたものを読み直す時のなんとこっぱずかしいことでしょう

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