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プロローグ
「……はぁっ……はぁっ……」
キミの首筋に手を当て、力を込める。
自分の手の平に込めた力の強さが、キミの肌の感触を通じて返ってくる。
汗ばんだキミの手が、僕の顔へと伸びてきて
「……ふっ、ぅ……」
キミが僕へ、笑みを向けた。
互いの吐息が触れ合いそうなほどに、近い距離。
「……」
キミは無言のままで僕をそっと抱きしめた。
されるがままの僕の胸元に顔を埋め、キミが小さく声をあげる。
……温かい
僕はそんなキミを胸に抱いたまま、小さく呟いた。
「……うん、温かい」