005 女神の泉にて
「……ここが、女神の泉か」
僕は思わず口にする。
この女神の泉はこの都の核心たる重要な場所だ。
この泉にはかつてこの地を統べたとされる大精霊がいたらしく、ここの神力はかなりの規模らしい。
そして、僕がここに来た理由はその神力を糧に降臨する女神アリア=セラフィムに加護をもらうためである。
神力の存在は魔術をまだ会得していない僕ですらも感じられる。
僕は早速、王宮の神官長に教えて貰った言葉を唱える。
「女神アリア・セラフィムよ! この大地の力を糧に、我に姿を見せよ!!」
すると。
僕の言葉が終わった途端に、静寂だった空気が一気に騒ぎ、泉の水が揺らぎ始めた。
ホォウウウ
泉の中央に光の柱が建てられた。
ん? 誰かが、中に入ってる?
光の強さが弱まり、中には肌白く、長身の金の長髪の美女が立っていた。
ー勇者ミホウよ。よくぞここに来ましたー
僕はいきなり下の名前で言われたので、とても緊張していて何も言えなかった。
「あの……えと……」
ーふふ、緊張せずともよいいのですよ?ー
そ、そんなこと言われても……
ー勇者ミホウ。あなたに神力と加護を与えます。気を楽にして下さいねー
「わ、わわっっわ……」
僕の身体が突如浮く。
そして、身体が暖かな光に包まれていく。
すると今までの緊張がほどけていき、光が消える頃には勇気が満ち溢れていた。
ーあなたに強い勇気の加護を与えました。もう私と喋れますね?ー
「はい。女神様」
ーこの世界のことを頼みますー
「任せて下さい!!」
ーこれで私も安心して……!!ー
結界がやぶれていく!? 僕にも神力と加護を与えられたから周辺察知能力は女神様とほぼ同じだ。
いや、それよりも!!
「け、結界が……切断されている!?」
そしてそう思ったとき、横から若い少女の声が聞こえた。
「よう、アリア」
◇◆ミホ◆◇
「よう、アリア」
んで、横にいるのが過去の自分、ね。
「何者だ!?」
過去の俺……いや、勇者ミホウはもう加護を受け取った後か。
バックジャンプしながら攻撃警戒をするなんてこたー加護貰ってねーと出来ないもんな。
俺は魔王の覇気を二人に当てる。
勇者ミホウは気絶。女神は
ーこの地の刻は私が統べる。時空凍結!!ー
ピシッ!!
乾いた音が世界に響く。
さすが、というべきか。世界の刻を一瞬にして止めやがった。
ー大地に響け!! 光線!!ー
俺は片手に力を集中、固定。圧縮し、こう言い放つ。
「効かん」
俺の片手から膨大な闇属性の防御壁を展開する。
俺には魔王の力に、今戦っている女神の力。さらに知識まで俺に宿っている。
今ならば、世界を混沌に叩き落すのも訳無い。
ーな!!ー
「アリア。俺の話を聞け」
女神はすぐに魔法陣を展開し、光属性最強の技を繰り出す。
ー天空を漂う光よ! 我に力を与えよ! スター・シューター!!ー
女神の頭上から光弾が連続発射。
「スター・シューター」
俺はやる気がない。ていうかこの戦い自体無意味。
さっさとすませて女神に創造主の在り処を教えてもらわんと。
女神の連続発射光弾に全弾命中させて、消滅させた。
ーそんな……ー
女神の額には汗が。顔色も青くなっている。
ああ、早く説明しないと女神も死んじゃうわ。
「おい。アリア。少し説明させてくれ」
ギロッと俺の顔を睨みながら女神が言う。
ーあなたは、何者なのですかー
「俺は元勇者ミホウさ。しかもお前らからみて俺は未来人だ」
ー……どういうことでしょうかー
それから俺は二時間ぐらいの時間を費やし、ことのあらましを説明した。
ーなるほど……。それであなたの身体から三つの魔力が感じるのですねー
「ああ。そういうことだ。それで創造主はどうすればあえる?」
ーこの世界の三界にある世界の宝玉を揃え、世界の始まりの場所に持っていけばいいのですー
また面倒くさい……
ーそのうちの一つは私が所有していますー
女神はそう言って空間からピンポン玉くらいの純白な真珠みたいなものを取り出した。
「へえ。それが世界の宝玉か」
ーはい。これはあなたにお貸しいたします。ですが、これは三界のバランスを保つ要。これを他の二界に持ち出すと、世界が崩れますー
「今持っているこの世界の宝玉は?」
ーこれは代替物です。いや、本来の力を封印されているといえばいいでしょうか。各界の祭壇におかなければ意味を成さないのですー
「つまり、この世界の宝玉を各決められた祭壇におくまでは封印状態ということか」
ーこのような世界の宝玉がこれを含めて残り二つー
「たったの二つか」
ーしかし、これを持つ王らはこれを決して手離さないでしょうから、むずかしいですよー
そりゃそうか。
「ああ。分かってる」
ん? 身体がだるい……
女神はおれのうとうとする姿に気づいたのか、ー少女の身体で疲れが溜まりやすいのでしょうねーといって、時空凍結をとき、勇者を起こして俺を刻を護りしものとして俺を守れと説明した。
俺の眠気がピークに達したとき、女神は言った。
ーこれから先、世界を頼みますー
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期末テストが近いため、来週の金曜日まで投稿出来ません。
ごめんなさい!!