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003 プロローグ③

 未宝の人間離れした魔力に魔王エレグスから与えられた魔力を加算してもなお、世界の崩壊が止まることがなかった。



 未宝の魔力も限界が近づく。

展開した魔法陣の維持は難しく尚且つ、莫大な魔力が必要で精神力をも削り取っていく。







パリンッ






 乾いた音が無音の世界に響く。

ついに、未宝の張った魔障壁が壊れた。



 考えれば、世界の理自体が崩壊しているのだ。

人間がどうこうできるレベルの問題ではすでになくなっていた。



「くそっ!!!!!」


悲しさよりも悔しさがこみ上げる。

自分はなんて非力なのだろうと。



 未宝は自分の力で人間界を救えると思っていた。

三ヶ月前にこの世界に来たとき、勇者といわれてとても嬉しかった。

そして、この人たちを救いたいと心の底から思った。




 しかし、今の未宝にそんな想いはひとかけらとしてない。


 皮肉にも世界がまた、無に変わっていく。



 自分にはもうどうしようも無い。未宝はそう思った。







ゴォオオオオオオオオ!!!






(なんだ!? この巨大な力は!?)


 人間の魔術師がまだ? いや、探索術式にかかるはずだ。そんなはずがない。僕の探索術式にかからないのは、生き物ではない者…………。




 考えながら周りを見渡すと、光の四つの柱が女神の都(アリア・ストリー)を囲み、まるで長方形の箱のような形状の真っ白なシールドが展開されている。





(これは、神術……。でもこんな高密度な技、天使でも到底……天使?)


 まさか、四大天使長!?



 ここまで考えていたとき、後ろから清く美しい声がかかる。



ー勇者ミホウ。よくぞ耐えてくれまたー



未宝に声をかけた人物はこの人間界の責任者、またの名を女神・アリア=セラフィム。

長身で黄金の輝きを放つ背中まである髪を垂らす美麗な立ち姿。



「め、女神様……」


ー勇者ミホウ。今この四柱神界でこの空間を守っていますが、長い時間は待ちません。一度しか説明できないので覚悟して聞いてくださいー




 この世界には貴方も知っているように、生命に溢れた人間の住まう、人間界。その人間界を管理し、時に祝福を施す、天界。人間の憎悪や妬み、悪の感情が作り出した、魔界の三界が存在しています。


 三界は絶妙なバランスをたもち、干渉しながら成り立っています。


 そして、その三界を創り、世の理を創ったのが創造主、【クーシャス=アース・メイデン】です。

クーシャス様は世界の原点。そしてその存在が三界の中核なのです。




 しかし、今から三ヶ月前、丁度貴方がこの世界に来てこられた日。

世界の理が変わりました。それが、世界の改変。

創造主にのみ使うことが出来る万物の力。




 しかし、ここからが変なのです。創造主がその力を使うには時期が早いのです。

簡単に言うと、万物の力は約4000年の月日で力を蓄えなければなりません。

もしも、不完全な形で無理に世界改変化を使えば、創造主はおろか、三界は全て消滅してしまう。


 まだ3000年しか経っていないのに、そんな危険を犯すような真似はクーシャス様は絶対にしません。



 きっと、何か事情もしくは身の危険を感じたのかもしれません。

なんにせよ、理由があるはず。


 そして、この世界の崩壊は無理矢理万物の力を使った為だと考えられます。






一息。






「つまり、創造主は何らかの理由があり、世界の理を改変したがやはりというかこの世界の崩壊を引き起こしてしまったということですね」

未宝が確認して言う。


ーはいー



 なんてことだ。と未宝は頭を抱える。原因は世界の根幹を握る創造主、【クーシャス=アース・メイデン】。今からこの崩壊を止めることが出来ない。


 未宝は諦めたようにいう。

「この崩壊を止めることは出来ないのでしょうか……」





 女神アリア=セラフィムは考えてから言う。


ー方法は、ひとつだけ、存在しますー


「本当ですか!? 教えてください。僕は、僕はどうすればいいのでしょうか」


ー……貴方にしか出来ないこと……ー

ーそれは、過去に遡り、元凶を断つことー




「か、過去に……」


ーしかし、その方法は大変危険です。万が一、貴方と過去の貴方が互いに知ってしまうと、時間軸がずれ、最も悲惨な事になりかねませんー




 悲惨なこと……。具体的なことは分からない。でも、今の状況よりも悲惨なイメージが想像出来ない。





「それでも構いません。それで世界が救えるのならば」

未宝ははっきりと言った。




ー……分かりました。本当は、貴方を巻き込みたく無かったのですがー


といって、女神アリア=セラフィムは勇者の頭に手をおく。





ビリッ





静電気のような痛みが、未宝に走る。


 この感覚、まさか!!

「女神様!!」




 未宝の目の前にいたのは、弱り切った美しき女性。


ー……貴方の体、には、三界の、王の魔力がありますー

とぎれとぎれに、か細い声。

ー…貴方が、過去の、貴方に知られないように、性格と、性別、を変えます…ー


「め、女神様……」






ー人間界、天界、魔界を頼みます……ー






 その言葉を最後に、未宝はまるで空中にいるような錯覚のなか三ヶ月前の世界に戻っていった。



ご意見、ご感想、ご批評をお待ちしております。


ーーー

ついに、プロローグが終了です。

やったね! 自分!


次の投稿は遅くなります。

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