第5話 出発
この物語は第5話です。
第4話を読んでからお読みください
俺の名前はスライム。
過労死レベルで働いていたら階段から落ちて死に、いろんな事があって、今はスライムになっている。
やっと洞窟から解放された俺は、久しぶりの新鮮な空気を堪能していた。
すると、遠くに大きな街があるのが見えた。
あの街の名前はカーヴェルと言うらしい。
人がたくさんいて、店も多く、繁盛していそうな雰囲気だ。
(よし、行ってみるか)
そう思い、俺は街へ向かった。
しかし、何も考えなかったこの選択が間違いだった。
街に入ると、本当に店が多く、人も多い。
久しぶりにパンを食べたくなった俺は、パン屋を探しながら歩いていた。
すると、大勢の人が俺を見て、ざわざわし始める。
(俺の顔に汚れでもついてるのか?)
そう考えていると、冒険者らしきガタイのいい男性が、こちらを睨みながら歩いてきた。
俺は丁寧に挨拶をしようとした――その瞬間。
向こうは躊躇なく、俺のことを襲ってきた。
(なんなんだこいつ!? 失礼な奴だな!)
俺は気絶させる程度の威力に抑え、右足めがけて突進する。
だが、その男は痛がるどころか、何事もなかったかのように攻撃を続けてきた。
俺の綺麗なスライムボディーが、少し削られる。
少し後ろに下がりながら、俺は考えた。
(なんで襲ってきたんだ?)
そして、俺は少し笑ってしまった。
(……そりゃそうだ。俺、スライムじゃん)
人間に敵視されるのも当然だ。
そう気づいた時には、すでに遅かった。
相手が斧を振りかざした瞬間、俺は全体力を使って街から逃げ出した。
(ヤバい……本当にヤバい! また死ぬんじゃないか!?)
ドキドキしながら草原を走る。
(やっぱりスライムが人間のいる場所に行ったら、討伐されるよな〜)
そんなことを考えていると、ふと疑問が浮かんだ。
(……でも、なんで周りの奴らは襲ってこなかったんだ?)
その疑問を抱えたまま草原を歩いていると、急に目の前に誰かが現れた。
俺は警戒する。
――そして、現れたのは女神様だった。
「……今度は、なんの用事でしょうか?」
俺がそう聞くと、女神様は軽い口調で言った。
「なんかね? この前【保管庫】スキルを君に渡したでしょ?」
「はい。あのスキルは便利で、嬉しかったですよ!」
「でしょ? でも、頑固な上司がね。“そんな弱いスキルを渡すな”とか言ってきてさ。
それで、またこっちの世界に出張になったってわけ」
丁寧に説明する女神様を見て、俺は思った。
(この人、前世の俺みたいだな……)
「じゃあ、今持っているスキルと、新しくもらえるスキルは交換なんですか?」
俺がそう聞くと、女神様は首を振った。
「ううん。今の【保管庫】はそのまま。プラスで新しいスキルをあげるよ」
(なんて太っ腹な女神様なんだ……!)
さらに女神様は、さっきの戦いを見ていたらしく、こう言った。
「戦っても生き残りやすい、強いスキルを付与してあげる」
そうして俺に与えられたスキルは――【冷却】。
「このスキルはね、スライムの体内から水を出したあとに使うと、氷になるの。
いろいろな使い方ができる、有能スキルよ」
しかも、このスキルは使えば使うほど進化するらしい。
進化するたびに、威力もどんどん強くなるそうだ。
スキルの説明を終えると、女神様は帰ってしまった。
こうして新たなスキルを得た俺は、心に誓う。
(次は……カーヴェルで、あのガタイのいい冒険者に再挑戦だ)
俺の物語は、まだ終わらない。
いかがだったでしょうか?
ガタイのいい冒険者との決闘が次回行われるのでお楽しみに




