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転移魔法無双  作者: まるせい


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第2話 勇者が異世界に乗り込むため準備を始めたようです

「よし! ゲームクリアだ!」


 俺こと、龍河りゅうが 勇輝ゆうきはゲームをクリアすると開放感を覚えていた。


 職場での労働基準法違反ともいえるデスマーチを完了させ、次のプロジェクトまでの間、束の間の土日を過ごすことになったのだが、身体がボロボロで出かける気分にもならなかった俺は積みゲーを消化していた。


「あー、明日からまた地獄の日々か……。これから死ぬまでこうなんだろうか?」


 どうにか出勤前にクリアすることができたのだが、仕事のことを思い出すと絶望に気が沈んでいく。


 来年は40になるので身体にもガタが来始めている。

 上司にいいように利用され、一番きつい場所を負担させられているのだが、上司の定年はまだ当分先なので、会社を辞めない限り今の待遇が続くことになる。


「かといって、他の会社に行くのもな……」


 いっそ他の会社に移ろうかとも考えるのだが、話に聞く限りこの業界の人間は同じような連中が集まっているらしく、今より良い待遇を得られるかは運次第といったところ。


 現実を変えるために転職活動をしても未来が明るくない可能性があるので、どうしても精力的に動けないでいた。


「あー、世界滅びないかなー?」


 勿論言ってみただけだ。世界が滅びると困るのは自分だし、そこまでは望んでいない。


 そんな風に現実逃避をしていると、


 ーーブンッーー


 目の前に画面が映し出された。


「うおっ! 何だ、これ?」


 目を凝らし目の前の画面に注目する。


『現在、異世界から勇者を召喚する儀式が行われてる最中です』


 画面を見ていると文字が表示され始めた。


『龍河 勇輝様。あなたは見事召喚される勇者に選ばれました』


 そのメッセージを読むと心臓がドキリと跳ね上がる。

 それは俺が長年夢見てきた異世界召喚だったからだ。


『ですが、異世界には魔物も存在していれば魔王も存在しています。承諾がない場合は勇者召喚を行わない予定です』


「それって……。俺が断ればこの話はなかったってこと?」


 問答無用で召喚されないあたり話に聞く異世界召喚に比べると随分と条件が優しい気がする。


「まあ、でもそうか……」


 何だかんだで日本は住みやすい国なので、こっちの世界に未練がある者も多い。

 強引に連れていったところで、向こうで駄々をこねられるのならあらかじめ意思確認をするようになったのかもしれない。


『異世界召喚されますか?』


 メッセージの下に「はい」「いいえ」が出現する。これを選ぶことで異世界に召喚されることになるのだろう。


「どうするか?」


 憧れていたとはいえ、いざ選択を迫られると悩んでしまう。

 期待も大きいが不安だって大きいのだ。


 だけど、もしこのままこの世界に留まるとして、何が変わるだろうか?

 毎日出社して残業して帰宅して、たまの休暇にはゲームをして過ごす。料理はコンビニで済ませ細々と暮らしていく自分の姿が思い浮かんでしまった。


「それに比べたら、人生をやり直せるチャンスかもしれないんだよな?」


 俺は一瞬躊躇うが、次の瞬間「はい」を押していた。


『ありがとうございます。貴方の勇気に感謝します』


 まるで対話でもしているかのようにメッセージが答える。


『貴方のこれまでの人生を数値に変換します。ステータスを振りわけ、魔法やスキルを取得して準備ができましたら転移を開始します。その他、転移後の世界についてはマニュアルを熟読ください』


 長文が流れるとともに、世界観説明とチュートリアルの項目が現れた。


 どうやら俺の目的は魔王討伐らしい。

 城に召喚され、王の命に従い世界中の困っている人を助け、その後に魔王を討伐するというもの。


 肉体年齢は18歳まで若返り、変換された数値を『筋力』や『魔力』などに振り分けたり、魔法やスキルを取得することで召喚後の世界でのアドバンテージを得るのだという。


「実際に、旅をしたら数年はかかるんだろうな?」


 世界地図には様々な大陸も存在しているし、これを徒歩で移動するとなるととても大変そうだ。

 

「幸いなことに、俺にはゲームの知識も異世界物の知識もあるからそれを踏まえたステ振りをすればいいだろう」


 まずはすべての魔法とスキルの説明を読み理解すること。


 俺はその作業に時間を忘れて没頭するのだった。





「よし、これが最適だろう!」


 暫くして、ステ振りを終える。

 我ながら、良い選択をした物だと思っている。


 ネットゲームと異世界の知識で考え抜いた素晴らしいバランスだろう。


 満足げに自分のステータス画面を見ると、


「それじゃあ、行ってくるかな」


 最後にアパートの自分の部屋を見て感慨に耽ると、俺は異世界召喚を実行するのだった。

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