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Proem I: side-Seeker
世の中には、「普通」だけが蔓延っている。
何を思い、何に憧れ、何を嫌い、誰を愛するのかさえも。
世界は「普通」という名のレールに乗せられた人間達が起こす事象の積み重ねであり、要するに、人間という生き物は普通を体現する世界の歯車の一つに過ぎない。
──だが、そんな世界の中で、もしも普通じゃない存在がいて、また、そんな普通じゃない存在だけを愛せる存在がいるのだとしたら。
この無意味に広すぎる世界の中で──そのふたつが出会えたのだとしたら。
それは、どれくらい例外の「奇跡」なのだろうか。