表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

プロローグ 日常

どうも。


お初の投稿です。

適当方針です。修正しつつ遊んでます。

足りないところが多いですが適当に楽しんでください〜。

 平和国家の日本ですら、行方不明不明者がいなくなることはなかった。ニュースではバミューダトライアングルで消えた豪華客船の特集をしていた。


 それでも世界は廻り続ける。


 これからもそうだ。高校時にスポーツ万能な人気者である高津くんが事故で亡くなった時も、大学でエリートであった須佐くんが本来行きたかった大学に行けなかった劣等感から自殺した時も、中学時代に不登校から行方不明になった友達も、そう。


 きっと俺たちは、世界から忘れ去られるために生きているのかもしれない。


「おしっ。土産を買ったな」

 俺は特にイベントを起こさない男であった。

 ときより近くを通るイケメンお金持ちや貢がれまくる美女を見て、魅力があった方が楽なんじゃないかと憧れることがあった。

 でも、彼らも俺が想像できない多くの苦労があるのだろう。 


 なら忘れ去られる存在でいい。誰も悲しませず消えられるように。

 働かない、勉強をしないは駄目だ。出来すぎても駄目。きっとイベントは平凡が一番だ。

 今日買ったお土産は家族の日常用だ。きっと、母さんと妹が貪って、父さん用に1個だけ残して、しれっとした顔をするのであろう。


「その未来しか見えないな」


 帰ったら大学3年生だ。インターンやら就活を頑張る時期。負けたっていいさ。それが俺の平凡だ。

 つまらないがどこか騒がしい大学生活に戻るとしますか。


 飛行機で旅行先の北海道から羽田行きの便に乗った。


 残念なことに、その便は俺の静かな日常に返してくれるものではなかった。


 適当な音楽を聞きながら窓側の席でうたた寝していた時、俺の乗った711便は突如として雲海に消えた。後で思うと、うたた寝をしてた時に偶発的な事故で死ぬのは自然な死に方だと思った。自然現象の中で世界から忘れ去られる。俺の人生など、彼らと同じその程度、それでいいんだ。


 それは、自分の死すら気が付かない夢の中での話であった。


 ーーーー()()()()()()()

 何?

 突如脳内に直接響くおどろおどろしい声。俺の困った反応に、それは遠慮なく繰り返してきた。


 ーーーー契約を交わすか?

 えっ、その、どうして?


 ーーーー()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これは宇宙間の災害だ。仕方ない。だが、嵐に巻き込まれた影響で、異世界で墜落死など悲しかろう。


 ⋯⋯それは最悪のイベントだな。って俺は死むのか?


 ああ確実に。

 ーーーー理不尽だな。お土産は届かなかったか。最後に家族に挨拶をしたかった。大抵は叶わないというのは本当らしい。


 そうだろう? 悔しいだろう?


 巨大な影が俺を誘っていた。

ーーーーなら契約するか? と。


 どうして俺だ?


 四人は夢と思って断った。二人は返答なし。一人は宗教上の理由。


 ⋯⋯⋯⋯随分な残り物で。

 もっと若い体がよかったのだ。

 十分若いつもりだ。で、契約する理由は?


 我が運命の継承。対価として貴様と乗客の日常を救おう。


 ーーーー夢か、幻なら醒めてほしいな。理由は知らないがなんで自分の運命から逃げる? 俺なんて本物の平凡だぞ?


 我は異世界の悪役をやっているのだ。魔王の後ろにいるフィクサーみたいな奴だ。正直、世界の悪は肩が凝ってな。


 ⋯⋯⋯⋯そっか。お前は静かに生きてみたいんだな。そっか、そうだよな。俺もそれを望んでいるだけだ。


 ーーーーどうする小さき存在。


 それ欲しがるお前が言うか?

 俺から見ても、目の前の絶対者は物好きであった。


 ハッハッハッハッ!! 確かに滑稽だっ。


 目の前に禍々しい巨大な竜が一匹いた。

『我が名はハデス。とある世界で邪竜として恐れられている。汝、我と契約しないか。日常を守ってみせよう』

「ーーーーはあ、とんだイベントだな。まったく選択肢無しかよ」悩む時間もなし。夢だった場合、じゃなかった場合、どっちにしても最善の選択は「いいぜ。俺と契約しよう。てめえに俺のクッソくだらねえ日常をくれてやる。こんな世紀の一大イベントはごめんだ。家族が泣くからな」


 だから俺は前を見て夢だとしても願った。

「守れよーーーーみんな日常。俺は忘れ去られるように平凡に生きて死ぬべきだから」


 禍々しい竜は純粋に笑った。

『貴様なら我の、いや俺ができなかった使命をこなせる気がする』

「汝、人様の宿題を任せるな」

 俺は邪竜の話し方を真似した。


『ーーーー(もっと)もだ。契約は履行された。

さらばだーーーー、我よ!!』


 そして雲に消えた飛行機は突如として姿を現し、仙台空港に不時着したのであった。


「さて我よ、あとは頼んだぞ。さあ、この世界は剣も魔法もなく安全で遊び放題ではないか!!」

 そんなセリフを俺が吐いていたら、きっと許さないだろう。




 さない。

『ん?』

「許さないっ!」

『ーーーーっ!』

 俺はあまりの痛みに悶絶した。

「あなたという存在が世界を悪しきに導く! エーテルの汚れは貴様という原因があるからだっ! 世界はなぜっ、世界はなぜっ!」


 目覚めた最初の展開は美少女にフルボッコにされる、であった。

 最高位の神聖魔法で全身を焼かれ今朝食べた焼魚への謝罪の念を感じ、捕縛され空中に出現した魔法の巨腕で殴られ、トドメの顎への飛び蹴りが顎にクリーンヒットした。


 俺こんなにデカかったけ?

 トドメの直前で、やっと現状が少しだけ理解できた。


「邪竜ハデスよっ。女神アルテミシアとの決着をつけよう! 今、勇者と魔王が最後の決戦を控えている。貴様の横槍を許すわけにはいかない!!」


 うん、この野郎この野郎っ、あの、邪竜(ハデス)め。


「ーーーーわが身を賭して貴様滅ぼす。世界を守るためにっ」


 とんでもねえ負けイベントから逃げやがった!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ